「Demi-Pointe(ドゥミ・ポアント)とはバレエ用語でつま先立ちの意味」住宅密集地に少しだけ背伸びをして光の取入れや快適な視線を確保した住宅である。
東京狛江市の住宅地に建つ二世帯住宅。施主は二世帯であるが世帯の分断は望んでおらず、お互いの世帯が交わる生活を望んでいた。しかし、生活ペース(時間帯)は世帯が違うと同じではないので、付かず離れずの間合いが取れる様に世帯ごとのリビングを各階に配置して尚且つ、プライベートな室は独立性を高めた建物としている。1階リビングは家族全員が集まってもリラックス出来るようになるべく広い空間が必要になる事と、その上階である2階リビングには大量の書籍が置かれる事が想定されたので地震時の揺れを最大70%吸収する制震ダンパーの採用と2階床をSPF材の2×12床根太を密に配置して対策を施している。また、その根太を天井面にて表しにする事によりハイサイド窓からの光の陰影、また夜間は間接照明による光の陰影を生じさせメリハリの利いた空間としている。庭に面するフルオープンの開口が庭木の自然と繋がりを強め内外の境界を少し曖昧にする役割も大切な要素で多目的なリビング空間としてのポテンシャルを向上させている。
初めて敷地を訪れた時、古屋が残る計画地は鬱蒼と生え茂る緑が印象的な土地であった。しかし、密集した住宅地に密集した樹木は圧迫感があり内外共に閉鎖したイメージであった。その様なイメージを払拭するべく樹木の選別、窓の位置の操作、建物をちょっと背伸びさせて床の高さを隣接建物より高くスキップさせることにより視線の抜けを確保し、ストレスを極力感じさせない生活空間としている。
若夫婦は2人共、美術デザイン系の仕事をされており、ベーシックな装いでも個性が光るセンスの持ち主でヒースセラミック社製の微妙にくすんだグリーンキッチンタイルへの拘りや持ち込み照明器具にはイサムノグチのAKARIを選定するなど玄人好みのインテリアとなった。
白と黒の外装と片流れの屋根形状により少しモダンなイメージが強い建物となったが外部の塀や内部の床、家具などに自然木を使用しているので時が経つことにより落着き感が増幅され、より玄人好みの建物になると、私は睨んでいる。
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