南北に長い敷地に建つ家の形で特に工夫した点は、家のどの部分にも日当たりや通風が良くなる家の形になるよう配慮した。北側に位置する寝室にも上部にある越屋根の窓からも採光をとり、夏場は室内に溜まった熱気をそこから自然に排気でき、冬場は低い太陽高度から室内を暖かく照らすことができる。
建物の2階北東部分には独立した図書館を配置し、静かに読書や仕事をすることができ、リビングの吹き抜け部分に面した小窓からはLDKで生活している家族の様子もうかがえるようになっている。
1階和室~リビング~DKと連続しており、建具を収納してしまえば一体の空間として利用できる。DKとリビングと和室の位置を一間~半間ずつずらして各部屋にそれぞれ南からの採光を取り込み一日中明るい室内とすることができ、その形状からも独特の外観を持つことができた。リビング上部を周囲よりも階高を1500㎜だけ高くして、半吹き抜けのような開放的な空間とした。
各室内には構造の梁を利用した建築化照明を用いて天井の間接照明と床面の両方を自然に照らすように工夫し、単純なディテールによりコストダウンにもつながった。
柱・梁は化粧表しとして、表面には食用油から作った塗料を塗り、壁・天井は珪藻土仕上げにして体にやさしい内装仕上げにした。また、玄関収納やリビングボードやテーブル・座卓やデスクカウンターなどを全て造り付けの家具にし、木製建具も全て無垢材を使用し職人による手作りにこだわった。その他玄関に坪庭を作って訪問者を出迎える趣向を凝らしたり、トイレに内障子を取り付けたり、壁に照明を兼ねた飾り棚をつけたりと各所に造作の魅せる部分を作り、オリジナリティ溢れる内観とすることができた。
道路から玄関へのアプローチは曲がり角を多く作り、毎日の生活の中でも庭園をゆっくり眺めながら進んでもらえるように工夫した。
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