北新宿I邸・竪格子の家
都心に建つ2世帯の専用住宅。1階に両親が住み、2,3階に息子夫婦が住む。
建物は間口が広い敷地の両端に余地をつくり、奥行方向は敷地いっぱいにほぼ矩形の形状に立ち上がり、北側の道路斜線により屋根が切り取られている。1,2階は個室を尊重した構成であるが、3階は階段部分を含む開放的なワンルーム空間としている。
道路側の外壁は2層分の黒く染色した竪格子で覆い、外部からは視線角度の錯覚によりヴォリュームや印象が変わる壁の色を赤くしている。
急勾配の鉄板葺き屋根面はほとんど空に解けこんでしまうほどに反射する。歪んだ螺旋階段からつづく玄関ポーチの壁と軒天にはステンレスを張り、光を反射する中間帯をつくりだし、外部と内部を繋ぐ。
内部の階段は、上下の突き当たりの壁に置かれた鏡が上下する人の視覚に幻視を引き起こす。また階段部分はトップライトの光を階下まで導く光のクレバスとなっている。
材料が持つ質感とその効果を空間の中に配置し、トリックを操作して実存と現象を共存させる試みをしている。
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