東京郊外の高齢者が増加する住宅地に位置する診療所の計画。
このクリニックでは、地域住民の為の総合的な医療を行う。今までの病院のイメージとは異なる、この地域に開けたクリニックをつくるというのがテーマであった。
そこで、〝大きな家″のような切妻型が連続する屋根はエントランスでは高さを抑え、徐々に高くなっていくことで、周辺環境への圧迫感を減じつつ、地域住民が親しみやすく訪れる広々とした空間をつくり出した。
隣地建物が近接する環境の中で、L字型のボリュームの内側に待合スペースとなるラウンジを配置し、そこに〝凹み″をつくり、隣地からの視線は遮りつつ光や景色を取り込み、閉じながらも開いた環境をつくり出す。
凹みから生まれた屋根や壁のずれは空間を緩く分節し、高さが変化しながら連続する多様な空間の中で、クリニックを訪れた人々は個々に心地の良い居場所を探し出す。
診療所という枠組みを超えて、この地域の新たな拠点となる場を提案する。
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