観光都市・京都のモデル地区として景観に配慮した建築物への規制が厳しい御池通に建った4階建てのビル。土地とビル所有者は代々この地域一帯を所有する呉服会社。ビル全館を使用するのは、ワンブロック西側にも店舗展開しているスポーツ用品店。既存店は学生をメインターゲットにした、競技用品を多く取り扱う店舗であるのに対し新店舗は健康維持や増進のための、趣味のスポーツを楽しむ大人をターゲットにしている。
ビル所有者の意向は、茶道の「真・行・草」を具現化した建物であること。スポーツ用品店からの意向は、大人がゆったりと買い回れる高級感とリラックス感のある売り場にして欲しいということであった。
アシンメトリーに開け放ったアンバランスな窓は、和のバランスを表現し玄関脇にも白い玉砂利と苔玉で東洋の庭をしつらえた。女性をメインターゲットにした1階は、ピュアな精神性を漂わせるアイボリーを男性をメインターゲットにした2階は、ナチュラルなウッド調と森をイメージしたグリーンを既存のテニスショップを移転させた3階は、清潔感溢れるホワイトとグリーンを基調に空間作りを進めた。4階は本社機能を集約。また1階には、スポーツショップでありながら、ややフェミニンなイメージを表現するため丸い形状をモチーフにしたアイアン什器やソファ、貝殻のシャンデリア等やさしいフォルムと素材感を多用した。
周囲の景観に溶け込みながら独特の存在感ある京都ならではのスポーツショップが出来上がった。
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