











福井の住宅街に建つ、フォトスタジオとアイラッシュサロンを併設したプロジェクト。施主が求めたのは、バラバラに構えていたスタジオとサロンを一つに束ね、未来へと繋ぐ建物であった。
外観は、雪深い地の厳しい気候に呼応する、ガルバリウムの大きめの波板で包み込んでいる。無骨なマテリアルを用いながら、親しみのある「家型」のシルエットを選択することで、住宅地における異質さと親和性の均衡を図った。積雪のリスクを考慮して雨樋を排除し、屋根からの滴りを砕石下の浸透パイプへと導く計画は、結果として意匠からノイズを削ぎ落とし、建築の純粋な輪郭を浮き彫りにしている。
ともすれば街を拒絶しかねない無窓の壁面には、植栽のレイヤーを重ねた。無機質な波板に風に揺れる枝葉の影が投影され、建築と街の間に「柔らかな緩衝帯」が生まれる。軒裏やエントランスには、波板の質感と共鳴する木毛セメント板を挿入し、無機質な強さの中に、どこか素朴で温かみのある表情を添えた。
内部空間は、光と質感を巡る二つのストーリーで構成している。南からの豊かな自然光に満たされたフォトスタジオは、階段さえも撮影の背景となるよう、ノイズを徹底して排した。対して、サロンへと続く動線にはアーチやアールの曲線を多用。コンクリート土間が奥へと続く中、曲線をくぐる体験が日常から解き放たれるための「スイッチ」となる。
白で統一された受付空間。カウンターや洗面には、手仕事の跡が生きる左官材を配した。塗装仕上げの均質な白の中に、左官の微細なムラが混じることで、空間にたおやかな呼吸が宿る。それは、張り詰めた白の静寂の中に、物質が持つ「揺らぎ」がしなやかな強さとなって溶け込む、やわらかな空間である。

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