家を建てるときに工法についても知っておくことで、さらに充実した家づくりを進めることができます。工法の違いは、コストや工期、間取りなど設計の自由度にも影響を与えます。
この記事では住宅で用いられることの多い3種類の工法について、それぞれの特徴を解説します。家の大きさや敷地条件も考慮しながら、あなたの家にふさわしい工法を選択してくださいね。
2×4(木造枠組壁式)工法
木の柱や梁などの骨組みではなく、間柱(サイズ:2インチ×4インチなど)と合板などの耐力壁で支える構造が2×4(ツーバーフォー)工法になります。隙間ができにくい構造なので、断熱性や気密性、防音性が高いのが特徴です。施工面では職人さんの腕に左右されることがなく、仕上がり品質が均一なのもメリットのひとつです。
2×4(ツーバイフォー)工法はアメリカで工期短縮と施工を簡略化するために生まれた工法で、後述する2つの工法よりも短い工期で建てることができます。工期が短いことから、コストダウンにもつながりやすい工法です。
線や面で建物を支えるので耐震性に優れる一方、設計面で大きな窓のような開口部が取れなかったり、壁を取り払うことができなかったりという特徴があります。
在来(木造軸組在来)工法
木の柱や梁などを骨組みにし、筋かいや構造用金物による耐震補強をして建てられるのが在来工法です。住宅密集地や狭小地などの敷地条件でも幅広く柔軟なプランに対応でき、将来の増改築がしやすいことなどもあり、日本でもっとも用いられている工法です。
木材は日本の気候風土に合いやすく、吹き抜けを作ったり間取りや窓の大きさなども自由に設計できる点が優れています。しかし、シロアリ対策や適切な耐震への対策が必要とされるのがデメリットです。また、建築士や職人の経験や腕に、性能や仕上がりが左右されやすい面もあります。
RC(鉄筋コンクリート)造
鉄筋のまわりを型枠で囲ってからコンクリートを流し込み、乾燥させて鉄筋とコンクリートを一体化させるのがRC造です。耐震性、耐久性、耐火性、防音性などの機能性が高いほか、設計の自由度も高いのが特徴です。
RC造は大空間を作ったり大きな開口部を取れるほか、アール(曲線)の造形も容易な素材なので、デザイン性に富んだ家づくりをすることができます。
しかしデメリットもあります。木造に比べて作業工程が多くなることから、工期が長くなりコストも高まります。また、重量もあるので地盤によっては補強が必要となったり、職人の経験や腕の差が出やすい工法でもあります。
2×4(ツーバイフォー)、在来工法、RC造の比較一覧
前述の通り、それぞれの工法の特徴を知ることで「どのようなデザインの家にできるのか?」や「どのような土地に建てられるのか?」ということも分かります。主な3つの工法を比較してみましょう。
RC造は高機能で設計の自由度も高いですが、コストが高いため戸建て住宅の場合は木造が主流になります。木造でも、吹き抜けや大きな窓をプランに取り入れたい方に2×4(ツーバイフォー)工法は不向きです。在来工法ならプランの自由度は高まりますが、耐震性については筋かいや金物などでしっかり補強する必要があるなど、工法により一長一短があります。
快適で長く住める家にするには
せっかく建てる家だからこそいつまでも住めるよう、耐久性にはこだわりたいものです。工法の種類に合った「断熱性と気密性の高い省エネな家づくり」と「メンテナンスを適切に行うこと」で家の寿命を伸ばすことができます。
(1)断熱性と気密性を確保できるか?
断熱性と気密性の高い省エネな家づくりは、日々の消費エネルギー量を減らして家計にやさしいだけでなく「冬暖かくて夏涼しい」ので、1年を通して快適に住むことができます。
断熱性や気密性がしっかり機能している家では人が健康に過ごせるだけでなく、結露したりカビが生えたりということがないので家自体も長持ちになります。
(2)メンテナンスしやすい素材か?
また、インテリアやエクステリアの仕上げ素材はなるべく繰り返しメンテナンスができる素材を選ぶことで、メンテナンスを繰り返し家を長持ちさせることができます。
DIYでメンテナンスできる素材を選べばメンテナンスコストも抑えられ、家を建てる業者を選ぶ際にも「アフターケアはしっかりしているか?」というポイントを押さえておくのが良いでしょう。
家づくりには知っておきたいことが非常に多くありますが、家づくりの方向性を決める工法を知ることで、より満足感の高い家づくりにつながります。