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小茂根の家の建築事例写真
小茂根の家
森孝行建築設計事務所
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1990年 (改修時 築32年) にハウスメーカーによって建てられた2世帯住宅 (建築基準法上の用途は長屋) の1階部分の改修事例です。
建築時は1階に祖母、2階に親世帯が住む2世帯住宅でしたが、介護施設に移った祖母と入れ代わるかたちで、2階で育った息子さんが結婚後に戻ってきて夫婦 (2人とも30代前半) で住み始めていました。
1人暮らしであった祖母に合わせた以前の間取りは、南面に大きく開口部を取った広い居間と和室があり明るく日当たりは良いが、壁面が少なく家具の配置にも困る状態で広々としているがどこか落ち着かない印象でした。逆にキッチンは壁に囲まれて独立した位置にあり薄暗く、北側の浴室からは湿気がまわりの部屋に広がっていました。これらを改善し性能向上した快適な住まいとしたいという希望で計画がスタートしました。
そこで水回りなど生活の基本構成は既存住宅の配置を踏襲しながらも、光の入り方や壁のバランスを改善することで空間の質を整えることを試みています。南面に大きく取られていた開口部は、開口面積を抑えて同じ大きさで均等に配置して外観を整え、床から少し上げることで窓辺をつくるような開口部としました。その内側には網戸の機能がある和紙張りの障子戸と、光を遮る板戸がそれぞれ戸袋に引き込まれるかたちで設けてあり、光の抑制とプライバシー保護の機能をもたせています。
もとの和室は床を下げてタイル貼りとした食堂に変更し、キッチンと食堂が一体的に使えるように間の壁を大きく開口しました。広々とした居間は多目的室と食堂で間仕切ることで程よく囲まれ安定感のある居場所となるように変更し、もとの食堂についても中間に変更して家の中心にあって各室へのつなぎの間の役割をもたせています。
この改修は事前調査で既存住宅を詳細に調査して性能や劣化や耐震性能を定量的に把握する住宅医の手法を取っています。既存建物をしっかりと診断し把握した上で予算と検討しながら、耐震性能や温熱性能の不足をどこまで向上させるかというところまで提案することができました。
また性能面だけでなく、壁を追加したり天井高や動線を工夫することで空間のバランスを整えたり、開口面積を抑えて建具や納まりを工夫することで光の入り方を調整したり、素材を吟味したりといった小さな変更の集積によって陰影や静寂さを宿した心安らげる住まいとなりました。
1世代分のサイクルを向かえた築32年ほどの住宅ストックをショートサイクルで建て替えるのではなく、既存建物と注意深く素直に向き合った改修を施すことで、世代を超えて住まいを受け継ぐことができました。
新築が当たり前ではなく、直して永く住む、住まいを受け継ぐことがこれからの暮らしにつながる新しい流れとなり、もう一つの定番になっていくことを期待しています。

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森孝行建築設計事務所

森孝行

設計事務所会員
設計事務所会員とは
主に建築物の設計監理や建築デザイン等を行っている建築設計事務所や建築家を示します。
通常営業中です
竣工年
2024
部屋数
3
家族構成
夫婦(子供あり)
構造
木造軸組住宅(在来工法)
延床面積
200㎡〜300㎡未満
予算帯
2500万円以上〜3000万円未満
所在地
東京都
ロケーション
都市