豊田市の郊外に立つ平屋の石場建て。建て主さんは、子育て中のご夫婦。
階高を低く抑えた田の字の間取りに、深い大屋根。
天然乾燥の材木を手刻みで組み上げた構造に、竹小舞を掻いて土壁を塗りました。
基礎は割栗石敷き玉石基礎、コンクリートを使用せず、昔ながらの石場建てです。
南側正面は、濡れ縁に懐かしい木製建具、内部は縁側と障子を挟んで和室。
石場建てで、風の抜ける縁の下は、空気と水を土に戻す環境改善装置。
私は、建築行為または人間の行為は、自然に負荷しか与えない行為だと決めつけてきました。
建築士として私にできる事は、極力ゴミにならない自然素材で作り、永く住み継いで頂ける伝統工法の家作りをする事で、少しでも自然への負荷を減らす事だと考えてきました。
しかし一昨年の夏に、高田宏臣さんの「土中環境」に出会い、人間の行為で自然環境を改善する方法がある事、そしてそれは古くから当たり前にされてきた土木の造作だという事を知った。
人間が自然環境を改善する事は20年前に諦めていたのですが、まさかこんな所で出会うとは夢にも思わぬ幸運な出来事でした。しかも、改善の要の一つが、民家であり、石場建てだった。
今まで石場建てをやってきて本当に良かった。
そしてこれからは、自然環境の改善にもつながり、心から良いと言える石場建ての家作りを今後も続けていきたい。
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