大阪府和泉市に建つ、若い夫婦と将来生まれるであろう子供達の為の住宅。典型的な郊外の新興住宅地に位置している。敷地は南側が接道し、近隣に立ち並ぶ家々は南側からの採光を得る為に、大きな窓を道路側に向けて設けている。しかしそれらの窓は、一日中カーテンやシャッターで閉ざされているという、建売業者やハウスメーカー主導による典型的な街並みを呈している。「はつが野の家」では、このような状況を改善したいと思った。建築は南側を低層、メインの生活空間となる北側を2層分の高さにし、中間に中庭を挿入するというヴォリューム構成とし、季節に関わらず上方斜め上から降り注ぐ太陽光により、日中カーテンやシャッターを閉じなくても、メインの生活空間となる北側のヴォリュームに採光を供給し、閉じたファサードとする事でプライバシーの確保も実現している。また、外観を特徴づけている深い軒は、南中高度の低い冬には太陽光を遮る事無くリビングの奥深くまで光を導き室温の上昇を促し、南中高度の高い夏には太陽光を遮り室内への入光を防ぐ事で、室温の上昇を防ぐ役割を与えられている。
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