のどかな村落の中に計画した小さな住宅です。
公団住宅で生まれ育ったお施主様のご要望は、出来る限り団地と同じ条件の居住空間を再現することでした。玄関に直結するダイニングキッチン、廊下を挟まず隣接する多目的な和室、極小の水廻り(洗濯機は二槽式希望)、天井高も団地と同じが良い。一つだけ異なることは、趣味のための広いガレージが欲しいという事だけでした。
厳しい予算の中、間取りを団地と同レベルまで切り詰め、構造材と仕上げを兼ね、素材や設備コストを最小限に抑えることで、1Fガレージ+2Fダンチのガレージハウスが出来上がりました。
時にウサギ小屋とも言われる日本の団地ですが、そこで生まれ、暮らしてきた方々にとっては、コンパクトでエコな住まいの理想像そのものです。第二次大戦後、集合住宅のモデルとして団地を構想した先達たちの努力が住み手の中にしっかりと息付いている事を改めて感じる計画になりました。