建築家と家づくり 好きに暮らそう SuMiKa
2015年 4月 6日

セルフリノベも取り入れてカジュアルに試みる実家の2.5世帯化計画

築30 年の木造住宅の一部をリノベーション。
施主支給やDIY も取り入れた最小限の改修で子世帯住居の独立性を確保する、ライトな実家改修計画。

text_ Satoko Hatano photograph_ Takuya Furusue

E2fa2603-35fc-4c8c-a8b9-a23d513ad04d
キャンバスに追加する
写真を拡大する

庭を囲む酒井さんご夫妻とお母さま。左手が子世帯住居で右手が母屋。1階は世帯間を壁で分離しているが、庭を介して交流できる。

HouseK

東京都北区
〈設計〉酒井康介建築設計事務所

73c7cc7d-2aef-41ea-95e7-21f1300dcd87
キャンバスに追加する
写真を拡大する

・住人データ
親世帯
お母さま(66歳) 主婦
お姉さま(37歳) 会社員

子世帯
康介さん(36歳) 建築家
清子さん(31歳) 主婦


建築家の酒井康介さんは、実家の一部を改修して、お母さまとお姉さま、酒井さんご夫妻が暮らす2.5世帯住宅をつくり上げた。

6d92a17b-e826-4496-8ca0-05cef625ac40
キャンバスに追加する
写真を拡大する

左・既存の床の間を子世帯の玄関に。地窓はそのまま生かした。
右・敷地の余白に飛び石を置いた、子世帯玄関へのアプローチ。

「両親と祖母、子ども3人が暮らした築30年の木造住宅には、人数分の個室がありました。でも、母と姉の2人暮らしになって部屋が余り、建物の管理も難しくなっていました」
と話す酒井さん。お母さまには、二世帯住宅に建て替える考えもあったが、結婚して間もない酒井さんご夫妻の暮らしの変化を考えて、今回はライトな改修を目指すことに。

Fd2efcd8-1d8d-4df4-8da7-33ffe4f76274
キャンバスに追加する
写真を拡大する

お母さまとお姉さまが暮らす母屋のLDK。家族構成の変化に合わせて3度の改修を重ね、現在の姿に。ひと続きのLDKと庭の眺めが開放的。

「5年後には本格的な二世帯住宅に建て替えるかもしれない。そう考えると、コストは最小限に抑える必要があります。具体的には、以前住んでいた賃貸マンションの家賃を基準に、2~3年で払い終える範囲としました。どこまでできるか実験的な側面もあります」(酒井さん)

7f42335e-47d4-4919-ae4e-c61c3dc61b38
キャンバスに追加する
写真を拡大する

左・子世帯LDK に面したバルコニーは家族共用の物干し場。
右・親世帯が使う母屋の玄関。壁のタイルや照明にも趣がある。

お祖母さまの部屋だった1階和室と、その上階にある2つの子ども室を、独立した子世帯住居に改修する計画。母屋のLDKがある1階は世帯間を壁で隔て、互いのプライバシーを確保した。

さらに、子世帯にも小さな玄関をつくり動線を完全に分離。一方で、共用バルコニーのある2階には、母屋に続く内扉を設けた。

135b9374-d5af-4506-b2ca-6b843e2cd7c5
キャンバスに追加する
写真を拡大する

左・子世帯玄関につながる階段を上がると、2階LDK が広がる。
中・世帯間をつなぐ2階の扉。猫の通用口もつくった。
右・子世帯の2階LDK の天井。

子世帯LDKは、2階の既存子ども室をつなげた14畳のワンルーム。
仕上げを剥がして小屋組みが顕になった天井が、木造住宅の歴史を物語る。梁下の壁は白く塗り直し、新旧部分のコントラストを際立たせた。

96333dda-4580-4e70-8746-c2a7f00ded0c
キャンバスに追加する
写真を拡大する

2つの個室をつなげた子世帯の2階LDK。壁面の本棚は、カラーボックスを並べた上に、照明を仕込んだ合板の天板を置いたもの。

B09dcb32-d1fe-45af-a247-557db433b654
キャンバスに追加する
写真を拡大する

左・間仕切り壁を撤去して構造の柱が顕れた子世帯LDK。
右・子世帯の1階寝室。左手の折れ戸の中は、0.5 坪タイプのシャワーユニット。

1階の和室は寝室に。既存の押し入れに0.5坪サイズのシャワーユニットを収めるプランが潔い。また、ヒノキ材の和式トイレはそのまま利用。洗面台は縁側に設置した。

Cf4cc429-a703-44e4-97e1-5f59e5d4d837
キャンバスに追加する
写真を拡大する

左・1階和室を子世帯の寝室に使用。縁側の左手に洗面台、右手には和式トイレがある。障子や天井仕上げなどは既存のまま使っている。右・ヒノキ材でつくられた清潔感のある既存和式トイレは子世帯用に利用。

DIYも実験的だ。2階天井の断熱と合板仕上げを酒井さん自ら施工。キッチンは天板を金物業者に発注し、水栓などはネットショップで購入。天板下の収納も自作品だ。

Da554929-4b1b-4414-a024-bf343e2640ec
キャンバスに追加する
写真を拡大する

左・DIY の子世帯キッチン。ステンレスの天板を発注し、ガス器具類をはめ込んだ。
右・1階寝室の縁側に設けた子世帯洗面台。

改修コストを計算し、それに見合う設計とDIYを実行するにはスキルが必要だが、酒井さんは、

「暮らしの変化に気軽に対応できるセルフリノベーションの可能性は、二世帯住宅にも広がると思います」

19c479c5-0ccc-435b-8266-5d61c452fa4a
キャンバスに追加する
写真を拡大する

母屋のお姉さまの部屋は、壁紙を張り替えてリニューアルした。

建築のプロでなくとも、本格的な二世帯住宅づくりのステップとして、ライトな改修にトライする意味はあるという。それを裏付けるように、家の新陳代謝を歓迎するお母さま。

「また住む人が増えて、この家ももう少し長持ちしてくれそうです」


〈物件名〉House K〈所在地〉東京都北区〈居住者構成〉母+姉+夫婦〈建物規模〉地上2階建て〈主要構造〉木造〈建物竣工年〉1983年(築30年)〈建築面積〉72㎡〈床面積〉1階 66㎡、2階 64㎡ 計 130㎡〈設計〉酒井康介建築設計事務所〈施工〉村上工務店〈設計期間〉1ヶ月〈工事期間〉2ヶ月〈竣工〉2012年


Kosuke Sakai

Bc113a28-b03a-40bf-9b00-09b5d3e45dd6


酒井康介

1977年 東京都生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。
2002年~ 安藤忠雄建築研究所。
2010年 酒井康介建築設計事務所 設立。

東京都北区上中里1・5・9
TEL 03・6759・8056
info@kosukesakai.com
kosukesakai.com


※この記事はLiVES Vol.71に掲載されたものを転載しています。
※LiVESは、オンライン書店にてご購入いただけます。amazonで【LiVES】の購入を希望される方はコチラ

関連する記事

前の記事

気がついたら、パートナーと住まいと自分のお店がそこにあ...

次の記事

『小屋をめぐる冒険~ものづくり者たちの見本市~』