三重県鈴鹿市江島(白子)に起型紙商店はあります。
大正13年、1924年に創設されたこの型紙製造販売会社のショールームをこの度、
設計、改装新築いたしました。
従来、『伊勢型紙』と言えば いろいろな着物を染色する際の文様を細かく彫り込んだ
柿渋で保護した美濃紙をいいました。鈴鹿の伝統文化技術として、保護させており、記念館も設立されています。しかし、着物の斜陽化もあり、着物の文様の型以外にも、額に入れて部屋の壁に掛ける装飾品として販売されるといった光景がよく見受けられるようになりました。
しかもその『型紙』は残念な事に 風景や人物などを絵画的に彫刻表現されていて
凡そ元来の『伊勢型紙の文様・意匠の素晴らしさ』が反映されていません。
このショールームに於いては、『伊勢型紙』の原点に立ち返り 本来ありのままの、『伊勢型紙』をお見せしたいとの思いで作られています。
ショールーム内でバックライトで浮き上がる本来の、『伊勢型紙』。
そして、そのデザインを拡大、型抜きしたパネル装飾。この度、型紙パネルというものを開発しました。
昼間は、陽の光により、型紙パネルが床、壁にその型紙文様の影を落としていきます。
夜は内部の照明にて、逆に、外部の床に文様の影を落とします。
型紙パネルは目隠しスクリーンであり、換気ガラリであり、採光グリルでもあります。
今まではオコシ型紙商店が何を扱っているのか・・・一般の方々には漠然として掴み処が無かった事でしょう。しかし、この装飾パネルを一見すればココが『何屋さん?なのか』お分かり戴けるようにとの思いを込めています。そう型紙パネルは看板としてもあるのです。
江戸時代には視覚に訴える看板を軒先にぶら下げるという事が当たり前でした。
文字ばかりが氾濫している現在、私たちは敢えてその先人の知恵をお借りし、
型紙パネルを外壁に帯のように巻き込むことで、型紙商店としてのフォサードを創り込み
この会社のショールームがあるべき姿を提示しています。
『伊勢型紙』は見せ方次第で、多様な可能性を発します。
それは その文様・意匠・デザインが本質的に優れている〝あかし〟だと考えています。