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ゴシック様式のアーケードとルネサンス様式の屋根が特徴的なティーン教会
photo by mendhak
チェコというと、首都、プラハの美しい街並みをイメージする人も多いのではないでしょうか。それもそのはず、プラハは、“建築の博物館”とよばれるほど、さまざまな建築物に出合える街。ロマネスク様式、ルネサンス様式、ロココ様式…、またキュビズム(立体派)建築は、チェコ以外ではまず見られないといわれています。
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ゴシック様式で有名な聖ヴィート大聖堂の内部
photo by Tambako The Jaguar
プラハだけではありません。プラハから東へ進んだモラヴィア地方には、チェコ第二の都市であるブルノがあります。こちらでは、現代住宅建築の原点といわれる、世界文化遺産のひとつ、トゥーゲントハット邸をみることができます。
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現代住宅建築の原点とみなされている近代建築の傑作、トゥーゲントハット邸
photo by Rory Hyde
見所の多いチェコ。今回は、スロバキアにほど近い、南モラヴィア地方を訪れました。ここは、おいしいワインとともに、素敵な民族音楽を楽しむことができる、美しい自然に囲まれたエリア。今回はそんな南モラヴィアの旅でみつけた、素朴で愛らしい家をご紹介します。
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田園風景が広がるモラヴィア地方
photo by Petr Dadák
外壁に、愛らしい花柄ペイント!
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スロバキアの国境に近い、小さな村、ストラージュニツェ。この村には、外壁に愛らしい花柄のペインティングをほどこした家を見かけます。家によって花のデザインが微妙に異なり、どこも白い壁に描かれています。木枠の窓も愛らしいですね。
家のアクセントにつかわれる花柄
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簡素な平屋が立ち並ぶエリアが多いのも特徴のひとつかもしれません。そのなかで、目を引くのが、やはりこんな花柄ペイントの家でした。真ん中の写真はまるで外壁にリボンを貼り付けたようなデザインで、下は窓の上にさりげなく花柄をあしらっています。
ガレージに玄関ドア!?
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ガレージの入り口と玄関の扉がひとつになったタイプ。よく見るとガレージのシャッター部分に、ドアが見えます。“ガレージ兼玄関”、効率的なアイデアですね。
玄関の入り口にベンチを置いて日向ぼっこ
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玄関が2階部分に設けられたこちらの家の入り口には、ベンチが置かれています。住人であるおばあさんは、ベンチに腰を下ろし、日向ぼっこ。通りかかる人とあいさつを交わしたり、雑談する姿が印象的でした。玄関の入り口にベンチを置く…こんなアイデアも、家づくりの参考にしてみるといいかもしれませんね。
まるでレゴのような家…!
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平屋だけでなく、立派な一軒家も多く見かけました。こちらは、屋根や煙突など、ブロックで組み立てたおもちゃのようなフォルムが印象的。窓枠やフェンスなど、アクセントに使われているグリーンとの組み合わせも面白いですね。チェコの絵本にでてきそうな愛らしさ満点です。
土間感覚でつかえる玄関兼インナーテラス
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こちらは階段をのぼって扉を開けると、玄関兼インナーテラスにつながります。インナーテラスからリビングへ。テーブルと椅子が置かれているので、土間のような感覚で、靴をはいたままくつろげます。階段下のスペースには、薪のストックがぎっしり。
壁面が緑一色…!ツタで覆われた邸宅
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家全体がツタで覆われ、庭もグリーンできれいに整えられています。外壁をグリーンで覆うことで、夏は涼しく、冬は暖かいというメリットも。手入れをちゃんと行うことで、ロマンチックな森の一軒家になりますね。
美しい森を抜けた先にある、草原の家
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ホワイトカルパチアとよばれる美しい森を抜けた、草原で発見。家の裏にも広い庭が広がります。木のフェンス、窓の格子のフォルム、玄関のライトなど、どれも愛らしい、牧歌的な景色に溶け込むおうちです。
いかがでしたでしょうか。今回、ご紹介した家はほんの一部。モラヴィア地方といっても、村や町によっても家の雰囲気が少しずつ変わりますので、訪れた際は、そんな変化をぜひ楽しんでみてください。
Text&Photo 矢島容代
フリーランスライター。日本では「エル・ア・ターブル」「ミセス」などの雑誌で記事を執筆。その後、フランス、タイでの生活を経て、2013年からドイツへ。現在は旧東ドイツの小さな村で夫と猫と暮らしながら、ときどきドイツの食や暮らしについて執筆。