「幾何学的な外観」と「木の素材感が溢れている内観」はこの建物を形成する
2つの大きな要素となっている。
【Geometry】
斜めの柱2本で支えられたすり鉢状のバルコニー。
この形態を決定付ける大きな要因として、「プライバシーの確保」と「防火壁」
という2つの役割がある。これらを満たすために、3方を壁で囲むことになるが、
その際の圧迫感の解消が必要であった。
3方を囲む壁を約10°外部へ傾けることにより、室内からの視線を上部の空へと
促す。そして、傾けることで表面積の大きくなった壁面に、上空から落ちてくる
光を反射させ、室内へと導く。これらの効果が面積以上の視覚的広さを演出し、
圧迫感の解消に繋がっている。
「防火壁」という機能上、壁に開口をとる事が出来なかったが、約10°の傾きに
よって、壁を沿うように心地よい風も室内へと流れ込む。
この約10°の傾きは、下部の柱にも投影され併せて約20°の開きを持ち、
それぞれを反転させたすり鉢状の外観を構成するに至る。
3方を囲む白い壁は、昼は上部の開口より日の光を集めLivingへの集光装置
としての役割を担う。又、夜には外部照明によって照らし出された、すり鉢状の
バルコニーそれ自身が大きな間接照明となり、行灯のような暖かさで帰宅する
御夫婦、街行く人々を楽しませる。
昼と夜で、内と外を照らし出すという、相反する機能を併せ持つこのバルコニーは、
幾何学的な外観上の特徴となっている。
【Wood-Branch】
建物の中心に位置する大黒柱の代わりとなる「Central branch」は内観において、
表面上のオブジェとも見れるが、構造上重要な役割を果たす。このデザインは階段
手摺、障子と内観の統一したイメージとなっている。
「Central branch」の足元には下階からの明かりによって、光の池となるガラス床が
あり、その光を吸い上げるようにそそり立つ姿は力強い建物の構成要素となっている。
幾何学的な白いBOXの中にある「Central branch」を中心とする木の温かみが、
冷たさと暖かさの対比の中でひときわ際立ち、柔らかく生活を包み込んでいく。
「Ramo」とはイタリア語で「枝」を意味する。「枝」を模したデザインは
知人・友人・家族を表し、「繋がり」そして「個」を象徴している。
この建物での生活に関わる様々な構成要素が、いつまでも生活の中心にある
幸せな「枝」であってほしいと願う。
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