坂道の脇や山の中で、斜面に建つ家をみたことがありませんか。斜めに傾いている土地を“傾斜地”といいます。傾斜地は土地代が比較的安い半面、家を建てるときのリスクを気にする方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、斜面(傾斜地)に家を建てるメリットやデメリット、そして注意点をご紹介します。
斜面に家を建てるメリット
傾斜地という特殊な土地に家を建てるのは「危ないのでは?」とか「土地を利用しづらいのでは?」といった不安を感じるかもしれません。
ですが、“傾斜地だからこそ”ともいえるメリットがあります。以下、斜面(傾斜地)に家を建てる4つのメリットを紹介します。
メリット1:眺めが良い
斜面に家を建てる一番のメリットは、眺望が良いことです。山や海など、自然が望める傾斜地の土地であれば、眺めを思う存分楽しむことができます。
見晴らしの良い方角にリビングの窓を広く設ける、視界を気にせず広いウッドデッキを作る、といったダイナミックな間取りも作れますね。
メリット2:土地代が安い
傾斜地は平坦な土地と比較すると、土地代が安くなる傾向があります。土地代を抑えられるため、その分の費用を住宅の建築費用をかけるといったことも可能となります。
メリット3:高低差を用いたスペースを活用しやすい
斜面に家を建てる場合に最大限活用したいのが、敷地の高低差。この高低差から生まれるスペースを有効活用できるのが傾斜地の魅力です。基礎を高くしてビルトインガレージを設けるなど、いわゆる“地下スペース”を作りやすくなります。
また、半階ずらしたスキップフロアを作るなどクリエイティブな間取りも可能に。設計のアイディア次第で、個性あふれる素敵なマイホームがつくれます。
メリット4:隣家の視線が気にならない
斜面では隣地との高さが変わるため、隣家からの視線が気になりにくいのも特徴です。どのように道路に面しているかよっては、道路からの視線も気にせずに済むので解放感を感じやすくなります。
また、隣家と屋根の高さがずれるため、日当たりが確保しやすく風通しが良いといったメリットもありますよ。
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斜面に家を建てるデメリットと注意点
傾斜地は、やはり平坦な土地と比べると特殊な形状だといえます。そのため、家を建てるには綿密な事前調査が欠かせません。
購入後に、「想定していなかった建築費用がかかった」とならないためにも事前に調べておくことが重要です。
ここでは、斜面に家を建てるときの注意点を紹介します。
デメリット1:自然災害のリスクがある
傾斜地は、台風や集中豪雨でといった自然災害で崖崩れを起こす可能性があります。また、道路よりも低い位置に土地がある場合は、洪水で道路から水が流れ込み浸水する恐れも。
崖崩れによる災害が考えられる地域は、「急傾斜地崩壊危険区域」として法律で指定されおり、各自治体が公開しているハザードマップで確認できるので、購入予定の土地が急傾斜地崩壊危険区域であるかどうか、事前に必ず確認しましょう。
デメリット2:基礎の費用が高くなる可能性がある
傾斜地では、土地の高低差を埋めるため、平坦な土地の家よりも基礎を高く作ります。基礎部分を利用した駐車場などがつくることができる一方で、費用が高くなることを想定しておきたいものです。
注意点1:擁壁(ようへき)工事が必要かどうか確認
高さ2mを超える崖に面した敷地に建物を建てる場合は、安全な擁壁(ようへき)をつくらなければなりません。通称「がけ条例」と呼ばれる、建築基準法施行条例で定められた規定です。
擁壁とは、崖などが崩壊しないように土を留めておくためのコンクリートやブロックで作られた構造物のこと。
造成宅地では、あらかじめ擁壁がつくられた状態で売りに出されている土地もありますが、ない場合は施主負担で擁壁の工事が必要になります。
条例については自治体により規定が異なるため、施工業者やハウスメーカーに相談しましょう。
注意点2:地盤改良が必要かどうかを確認する
傾斜地では、地盤調査をして改良する必要があるか敷地調査をしましょう。斜面の土地といっても、土を切り出す、土を盛るなどの造成をして、ひな壇状に作られている土地も少なくありません。
造成された土地は、家を建てる前に地盤がしっかりしているか地盤調査が必要です。特に、土を盛って土留め工事をしている土地では地盤改良する場合があります。
地盤調査の結果によっては改良工事が必要になることも想定しておきましょう。
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まとめ
斜面に建てるマイホームは、眺めの良い方向に大きく開いたダイナミックな間取りや、高低差を利用したビルトインガレージ設置など、個性的な設計が叶います。また、土地代が安いのも大きなメリットです。
しかし、造成費用や基礎費用など建築費用がかかる場合が多いことも想定しておきたいものです。
傾斜地での建築は、条例の確認や建築前の地盤調査、区域のハザードマップの確認など、念入りな事前調査が重要になります。設計の工夫次第では造成費用が抑えられるため、豊富な経験を持つ建築会社に相談してみましょう。
文:島田さわ(二級建築士)
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