「カンカン・ハウス/nH:1」は大阪府の南部、岸和田市に建つ小さな住宅です。住い手は30代前半の夫婦と子供一人という構成の若い家族。敷地は南側を隣接する建物に遮断されている上に旗状敷地という、住環境としては厳しいロケ-ションに位置しています。岸和田市は「だんじり祭り(岸和田祭り)」で全国的に有名な地域で、住い手はこのお祭りに熱心です。そして「だんじり祭り」がこの建築から見える事が強く要望されました。この要望から「だんじり」のコ-スが見える北側の2階部分は全てガラススクリ-ンで覆われたファサ-ドとされ、年に一度の晴れの日を待つ設えとなりました。因みに「だんじり」を回転(ヤリマワシ)させる場所は通称「カンカン場」と呼ばれていて、この建築の2階部分から見渡せる計画となっています。「カンカン・ハウス」の「カンカン」とはこれに由来しています。このガラススクリ-ンは、南側からの採光を隣接する建物の遮断される事を余儀なくされたこの建築に対して、北側からの柔らかい反射光を導いています。「だんじり」を楽しむ為の装置は採光を補う装置としても機能する事になりました。結果的に住い手の要望と敷地の特性が色濃く反映され、住宅建築の特異性が強く反映される事になった建築となりました。
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