川崎市溝の口にある定員70名の保育園です。待機児童が大変多い地域であり、住宅地域から駅に至る通勤途中の利便性の高い場所での整備が望まれた。間口が狭く中央がくびれた8mもの高低差がある崖地という極端に不利な敷地条件に対して、伝統町家やトイレ中心の保育室などの新しいアイデアを盛り込むことで豊かな保育空間の実現しました。
・狭小、変形、高低差の三重苦を解決しました。
・隣接する森を見下ろす空中庭園となるテラスと大開口を設けました。
・部屋の中心にトイレを置き、ぐるぐる回れる保育空間をつくりました。
・ALCの安価な外装材を市松貼りすることで新しい表現を目指しました。
狭い、変形、高低差を持つ三重苦の敷地に対して以下の提案で解決しました。
・廊下は移動のためだけの空間になりがちですが、ここでは日本の伝統民家にある活動的な土間空間「通り庭」に習って、展示、読み聞かせシアター、収納、保護者の待合、といった多機能を与えました。
・最下である地下2階を身体障害者送迎車庫、地下1階を地域開放(職員休憩)、1階を保育室と食堂、2階を保育室と多目的室、最上階を空中庭園とし、立体的に機能を分散させました。
・ネット遊具のある吹き抜けで上下を繋ぎ、「気配が伝わる関係」をつくりました。
・トイレが部屋の中心にある前例のないプランによって、ぐるぐる回れ、可動家具で自由に仕切れ、トイレの天井の天窓を介して日の光を導く行灯となり、自然換気をする環境装置として機能させました。
・空間の要所に色のある壁を置き、過度に主張せず暖かみのある空間としたり、中央が高くなる寄棟天井や木材の梁を表す部屋をつくるなど、狭さを感じさせない工夫をしました。
オーナーは地元に貢献したいと考えておりました。そして未来向けた革新的な施設を望んでいました。このことは敷地が抱える問題を解決する原動力になりまいた。また、問題に対して私の提案する革新的な解決方法やデザインを大変共鳴して喜んでいただきました。
緑化や家具、カーテンなど引き渡し後の諸設備についてもご相談いただき、デザインを大切にしていただいております。
これまで住宅や様々な施設は過去の既成概念による決まった形で多くが建てられてきました。オーナー様の理念や個性を尊重した多様性を求めらています。この保育園はそんなオーナー様と設計者である私の夢が共鳴することで実現しました。
天空の城
設計協力:TDLアーキテクツ
構造設計:株式会社ハシゴタカ建築設計事務所・ladderup architects
設備設計:冨張設備
施工:奥建設
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