この建物は、大根島と言う島のほぼ中央の小高い丘の上に建つcafe兼住宅である。
そのまま敷地に立てば、360°海が見える絶景である。そして、東の方角に大山と言う富士山によく似た山が見える。この辺りの町の象徴でもある。
それらの風景は普段、何気に見えているこの辺りの土地の人は当たり前の景色である。
なので、如何にしてその素晴らしい風景を感じることができるのかを考えた。
普段感じられない景色と、そこに在る自然を違う角度から、この建物に取り込むことにした。
そこで、何気に見えている絶景を隠すことにした。単に目で見てしまうのではなく、より強くそこに在る風景を感じられるようにと・・・。
先ず、最低限のスペースごとに分けた。そして、そのスペースを外部から包み込んでみた。
最小限のスペースを結ぶ隙間がこの建物全体をつなぐ。そして、この隙間が緩衝材としての機能を持ち、それぞれのスペースの個性を守りつつ上手くつないでくれる。
単に、部屋の一部としてしまうのではなく、そこに曖昧な空間(隙間)が在りその隙間に重要な役割を持たす。
建物の内部に入っても、いつの間にか外に出てまた、内部に入ってしまうような内部と外部とが混乱しているかのように・・・。そこに、この建物の広がりがある。
内部と外部が共存することで、自然を取り込むことにした。
そして、外に居るときに感じられる自然と、中に居るときに感じられる自然を別のものとしたことで、内部に居るからこそ感じられるような景色を手に入れた。
更に、緩衝スペース(隙間的外部)により各スペースのプライバシーがより確保された。
それと、この土地は西風と北風がとても強い。そこで、西側と北側の一部を二重壁とした。どうしても、夕日を建物内部に入れたかったので二重壁の一部を穴開きブロックとした。
二重壁としたことで、夏の西日による熱を軽減してくれている。そして、冬の西日が熱をくれるので、自然エネルギーをより活用できる。更に、西日が穴開きブロックからオレンジ色の光で室内を演出してくれる。
もう一つ自然の恵みがある。それは、台風の時に敷地の東側にちょっとした丘があり、見事に建物を守ってくれている。風が緩まれば、緩やかな風が吹き抜けていく。
自然と人工とのバランスを図りながらつくることが大切なのかもしれない。
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