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建築家の棲み家
記事作成・更新日: 2014年11月 8日

遊び心から生まれた、我が家の5つの実験的空間。[建築家の棲み家 Vol.03石川直子]


「好きに暮らすってどういうこと?」。建築家は家の設計を通して、この問いかけの解を住み手と一緒に探します。そんな建築家自身の住まいにおける「好きな暮らし」を覗いてみましょう。建築家自らが「好きに暮らそう」を体現した「自邸のお気に入り」を紹介する本企画「建築家の棲み家」。第3回は石川直子さんです。


はじめまして。石川直子建築設計事務所・アトリエきんぎょばちの石川直子です。マンションの1室をリノベーションしたアトリエ兼自宅で暮らしています。

なるべく広く感じるようにと、中央にボックス状の水廻りを置くことで軽く間仕切る、ほぼワンルームの空間で、必要に応じてさらにカーテンで間仕切る構成になっています。

自分たちで施工した部分や、実験的にやってみた、ということを5つご紹介させていただきます。

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写真は玄関土間前の、飾り棚コーナーです。玄関土間の正面の扉は、上下軸吊り金物の回転扉で、普段は壁の一部として存在しますが(写真左)、90度回転させて閉じると洗面の扉としての役割を果たします(写真右)。1枚で2役の、働き者の扉です。

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間仕切りのカーテンは、水玉が入ったレースの布を買って来て、手作りしました。このカーテン、打ち合わせの時に来所した、小さい子供に人気です。特に女の子は、ぐるぐるふわっと巻き付けて、お姫様気分を味わうことができます。

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床はインテリアラーチ合板で、釘で下地に止めています。大判でざっくりとした材料ですが、通常はバンバンと打ってしまう釘のピッチを整えたり、ささくれができないように合板のエッジをかんなで削っていただいたりと、大工さんに丁寧に仕上げていただいたおかげで、ローコストですが趣のある床になりました。インテリアラーチは、何故か私のブログでは、アクセスワードランキングで上位です。

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押し入れを壊して出て来た壁は、今では高級品の杉板型枠の打ち放しコンクリートでした。コンパネ(コンクリートパネル)の無い時代は、杉板型枠が主流だったのですね、時代を感じます。端の方にチョークで書かれた「斫り(ハツリ)」(※1)の文字は、記念に残しました。工事中の苦労が想像されます。「三の返り」と墨で打たれた返り墨(※2)もチャームポイントです。こちらは、打ち合わせに来られた工務店の方や営業の方に好評です。

※ 1斫り(ハツリ)とは、建築現場でコンクリートの一部をノミや電動工具で削ったり壊したりすることです。写真の「斫り」の文字の右上は、丁度壁と梁のぶつかる施工上難しい場所で、杉板型枠の隙間からコンクリートが流れ出してしまったのかな、と想像しています。
※ 2返り墨とは、建築現場で墨出し(工事現場に必要な線や位置を記すこと)の際、本来必要な場所に墨が打てない時に、500mmや1000mmなど離れた場所に目印として打つ墨のことです。コンクリートの壁の中に通り芯があったり、資材が置いてあったりなど、物理的に墨が打てない場合に採用します。写真の「三の返り」は、三通りからの返り墨の意味ですね。

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洗面台の脚は穴空きコンクリートブロックで、その上にデッキ材を載せてカウンターにしています。穴空きブロックのような工業製品は、大変魅力的です。システマチックで簡素なデザインは見ているだけでうっとりしてしまいます。同業の友人もうっとりしていました。

子供のころから、庭に自分で小屋を建てると言い出したり、部屋の天井を剥がしてロフトを作ってみたりと、家にとても興味がありました。いつかは自分たちのための小さな家が建てたいな・・・シンプルで、機能的で、デッキが有って・・・と、日々妄想しています。

Text&photo 石川直子/アトリエきんぎょばち


プロフィール

石川直子/アトリエきんぎょばち

主な作品

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オモヤ・ハナレ

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光回廊の家

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中野の二世帯住宅


Vol.4は栗原光さんです。


この連載のバックナンバー

Vol.01 大塚あや「私と椅子と、そして居場所」

Vol.02 一條美賀「私と椅子と、そして居場所」

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