cell は、定年退職した夫婦が森をながめて暮らすために建てた住居である。
標高900mに位置する敷地は、四季折々の表情が美しい広葉樹の森に囲まれている。涼しい夏は東屋のように建具を開放し、木々の葉音や草の香りを直に感じて暮らしたい。厳しい冬は、一面の雪景色をながめながらのんびり冬ごもりといきたい。
そこで、機能を異にする5つの空間を連ね、住人が季節に応じそれらを行き来して最も住み良い場所を探すこととした。そうすることで、各々の空間は機能的でありながら簡略的であることができ、そして簡略的であることによって、住まいは森との親密性を取り戻すことができるのだ。