石部東の家 -庭廊をもつ家-
新しく分譲地として開発された土地の購入を決められたご夫婦。
目の前には、田畑が広がり、その奥を電車が通過します。
そんな、のどかな風景が広がる敷地ではありますが、新しく分譲された土地の区画は、間口約7m・奥行約23mという細長い敷地でした。
間口が狭い土地には、将来周囲に建つ住宅は間口を広く確保することが考えられるため、敷地いっぱいに建物が建ち、密集した住宅が建ち並ぶ事が予想されました。
せっかくのどかな風景が広がる敷地なのに、住宅が密集し、外に開きにくいのは“もったいない“と感じ、少しでも外に開く空間を作ることができないかと考えました。
そこで、外を感じる工夫として、庭廊を設けることをコンセプトにしました。
細長い住宅なので、長屋の様に通り土間のような用途を共用部に落とし込み、空間を大きく玄関から庭へと続く庭廊(共用部分)とLDK (プライベート部分)に分け、庭廊から各空間へアクセスするような配置にしました。
この庭廊の上部に開口をもうけることで、日常生活の目線から窓をはずし、プライバシーが確保でき、上部から光を落とし込み、外のような空間を作り出してくれます。
玄関と同じタイルを庭廊にも用いることで、“廊下”という室内空間が、外部空間の延長に変化し、外のような空間が住宅の奥の空間まで続いていきます。
庭廊を見上げると、梁が並び、その梁は時間の流れに沿って、LDKに影を落とし、様々な表情を見せてくれます。
リビングから見る廊下は、柔らかな光を落とし込み、時間によってゆるやかに変化する空間は、非日常を感じさせる空間であり、ここに住むご家族の暮らしを豊かにする場所になっています。