2003年に竣工した賃貸集合住宅『PROTO』の増築です。
PROTOは単身者のためのワンルームを基本にして、キューブの単位を積み重ね都市のファサードの可能性を提案しました。
そのPROTOに隣接した台形の変形した土地に、新しく集合住宅を計画することになりました。
私たちは、隣接する土地に単に新しい集合住宅をもう一棟造るのではなく、PROTOの共用部に新しい住戸を接続させて、共用部の面積とコストを抑え、広く個性豊かな4住戸を増築することを提案しました。
提案した住戸は、1・2階のメゾネットタイプが2住戸、3・4階はそれぞれワンフロアになっていて、PROTOの共用部を使い戸建てのように独立性を高めています。
デザインはPROTOの薄肉扁平ラーメン構造の形式をモチーフとして継承し、新しく個性あふれる4住戸を付加することで、更にバリエーション豊かな個性あふれる住戸の集合体として生まれ変えさせました。
新しい集合住宅は最初から増築を計画していたわけではありませんが、屋上を開放し住人が自由に使っている様子が見える時、私たちの提案が成功したと感じます。
クライアントはそのコンセプトを汲み取り、新しい集合住宅を『PLOTO plus』と名付けました。
設計担当:納谷学、相田宗徳、滝沢茂雄
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:江中建設株式会社 茨木 柾貴
敷地面積:84.46m² (25.54坪)
延床面積:253.51m² (76.68坪)
構 造:RC薄肉扁平ラーメン構造
階 数:地上4階+PH
住戸数 :4戸
事業主 :プロトスタイル株式会社
問合わせ :リネア建築企画
掲載誌 :
『LIVES』 vol.44 2009 APRIL&MAY』
『新建築 2009.08号』
『日経アーキテクチュア 2009.9.28号』
『家主と地主2010年10月号』
①新築ではなく増築の提案
新築ではなく、既存の集合住宅の共用部を利用して、増築建物のエレベーターや階段などの共用部を少なくして、レンタブル比を上げました。
②異なる住戸タイプ
メゾネットタイプ2住戸、ワンフロアタイプ2住戸の4住戸を全て異なるプランにして、多様な人に賃貸できる様にしました。
③大きな窓
RC薄肉扁平ラーメン構造を採用する事で、建物の間口いっぱいの大きな開口を設けました。
できるだけレンタブル比を上げる計画が求められました。
新築ではなく、隣地に立つPROTOの共用部を利用して増築することで、賃貸面積を増やしレンタブル比を上げました。
寄生虫
隣に立っているPROTOの共用部を利用して、レンタブル比を上げているのは、まさに寄生虫が他の動物の体内に宿り、共に生きてる様に似ています。
当初は、この敷地も一緒にPROTOとして設計する予定でクライアントと話していましたが、結局既存のアパートを壊すことができず、台形の土地が残ってしまいました。
いつか計画ができるかもしれないと思っていましたが、思ったより早く計画が始まりました。
PROTOに接続出来るように仕掛けをいくつか造っておいたのが、実を結びました。
世の中に一つとして同じ住宅があってはならないと思います。
家族の在り方は、みんな違うのですから。
同様に賃貸住宅にもさまざまな住戸の選択肢があるべきです。
人はみんな違う個性なのですから。
相田宗徳(元スタッフ)
滝沢茂雄(元スタッフ)
プロトスタイル株式会社
リネア建築企画
江中建設株式会社 茨木柾貴