敷地は、府中の住宅地の角地です。
二方向に道路があるので、開放的でプライバシーを守るため個室をグランドレベルに、キッチンを含むLDKと浴室などの水周りを2階の中心に置いています。
駐車スペースと庭を分けるように建物を敷地中央に南北に配置すると、2階のリビングから庭と道路側を跨いで見下ろすような関係が生まれます。
1階の個室は道路側に背を向けプライバシーを守り、庭に開いた開放的な個室になります。
ご主人の趣味のシアタールームも1階の道路側で、その屋根は2階のリビングから直接出られるデッキテラスとなっています。
角地でのプライバシー確保と解放性、矛盾した問題を建物を敷地中央に南北に配して、LDKを2階にすることでクライアントの要望の全てを解決した事例です。
設計担当:納谷学、相田宗徳、谷山裕一
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:町屋建築工房 小林
構造形式:木造在来工法2階建て
延床面積 :98.54㎡(29.86坪)
1階床面積 :53.83㎡(16.31坪)
2階床面積 :44.71㎡(13.54坪)
①プライバシー確保
角地は、道路から多くの視線にさらされます。建物の配置によって開かれた駐車スペースを確保しつつ、プライバシーを守りました。
②開かれた庭
建物を建てることで敷地に残ってしまった庭ではなく、プライバシーが守られた庭を確保して、建物の全てのスペースが開放的になるようにしています。
③開放的なお風呂
プライバシーが守られているため、住宅地なのに周囲から見えない開放的なお風呂を提案しています。
最初にお客さんを訪ねて行った時、家の中が物で溢れて庭は使われていませんでした。
庭を光や風を得る有効な外部スペースと捉え、必要なところに必要な収納をきちんと仕分け、整理することで散らからない様にしました。
この家ができてから、生活が変わったそうです。
とても優しい仲のいいご家族でした。
その優しい言葉の中にも、新しい生活に対する強い決意と思いを感じました。
この家族のために、想いを裏切らない健全で彼らにふさわしい住宅を造ってあげたいと強く思いました。
どういう住宅に住みたいか、具体的なものがなくても大丈夫です。
それを解決するため、コミュニケーションを大切にしています。
家のことに限らず、家族のこと、趣味のこと、過去のこと、未来のこと、何でも話してください。家づくりのヒントが隠れています。そしてそれを必ず見つけます。
鳥の巣
外から家族のプライバシーを守り、内側で自由に生活できる在り方は、外敵から雛を守る鳥の巣を思い浮かべました。
相田宗徳(元スタッフ)
谷山裕一(元スタッフ)
かい構造設計 寺門規男
町屋建築工房 小林