秋田の湯沢は、雪深いところです。毎年2m程の雪が積もります。
そんな気候の民家は、リノベーションする前は、土間や廊下で内側の部屋を守り、冬の寒さをしのぐ工夫が施されていました。
その昔ながらの土間や廊下を住宅全体にロの字型に回し、空気層で居室を囲い込み、寒さ対策をすることにしました。
プランは、親戚が集まり土間から直接入れる仏間を中心に、子世帯と親世帯に分けました。仏間の裏側には共有する水周りを配し、二世帯を緩やかに繋ぎ、分けています。
リノベーションにあたって、基礎を造り直し、傷んでいた土台や柱を交換したり補修をしました。
また全体に断熱を施し、築150年以上の古民家は、また次の100年を迎えることができるでしょう。
設計担当:納谷学、太田諭
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:佐久組 佐藤隆志
構造形式:木造在来工法(古民家)
延床面積 : 271.00m²(81.98坪)
1階面積 : 216.00m²(65.34坪)
2階面積 : 55.00m²(16.64坪)
受賞歴 :
2007 第21回秋田住宅コンクール 佳作
2008 第2回JIA東北住宅大賞 大賞
掲載誌 :
『Casa BRUTUS 2007.02号』
『Replan Vol.20』
①建物の外周に沿って周り廊下があります。
周り廊下が空気の断熱層になって北国の寒い冬から生活を守ります。
また玄関からスロープになっているので、家の中がバリアフリーになっています。
②広い土間の玄関です。
土足で二世帯どちらにも直接アクセスできます。
③仏間と共有の水周りを挟んで二世帯があります。
二世帯が平家で直接繋がるのではなく、一家の共有の仏間と浴室等の水周りを挟んで程よい距離感を作っています。
親世帯の天井を解体してダイナミックな丸太梁を見せましょうと提案しましたが、おばあちゃんが寒くなるから嫌だと言いました。断熱をちゃんとやるから大丈夫だと説得して工事をしました。出来たら、暖かいと言って喜んでくれました。
ダウンジャケット
周り廊下の空気層で建物全体を包みました。まさにダウンジャケットと同じ構造です。
太田諭(スタッフ)
かい構造設計 寺門規男
佐久組 佐藤隆志