敷地は、街道沿いの橋の袂。道幅が狭い割に車の交通量が比較的多いところです。
古くからその土地で受け継がれてきた住宅を、二世帯住宅に立て替えることになりました。
生活時間帯が違うため玄関は2つ、洗面・浴室も2つ、リビングとダイニング、それにキッチンは1つと家族の個室が4つ。
それぞれの部屋を必要な広さだけ確保して、大・中・小12個の箱ができました。
12個の箱を敷地周囲の環境と家族の距離感(関係性)から繋ぎ、離し、箱と箱の隙間と距離をコントロールしました。
リビングの前には、中庭の様な大きな隙間とそれに接する夫婦の部屋とお母さんの部屋。ダイニングからデッキテラス(外部)を挟んで見える息子の部屋。箱庭の様な隙間に開く浴室。
それぞれの部屋が、外部の隙間を介して向かい合う部屋と距離と窓の在り方で繋がります。
「富津の住宅は」家族の個々の関係性がそのまま形となって街に現れました。
設計担当:納谷学、渋谷真弘
構造設計:佐藤淳構造設計 佐藤淳
施工会社:サンヨー建設 工藤洋史
構造形式:木造平家建 在来工法(2×4、6)
敷地面積:390.21m² (118.18坪)
延床面積 : 150.00m² (45.45坪)
掲載誌 : 『Discover Japan Vol.4』
テレビ : 渡辺篤史の建物探訪
①二世帯の平家
二世帯が平家で生活することで、コミュニケーションが取り易くなっています。
②12の箱
住宅の機能ごとにそれに必要な大きさの箱を繋げ、廊下のない住宅ができました。
③箱の隙間
繋げた箱と箱の隙間をコントロールして、それぞれの箱に有益になる様な外部空間として、向かい合う箱の関係を開口部でコントロールしました。
二世帯家族が密接につながりながらも、一人一人の時間も大切にできる方法として、平家前提で個人個人の関係を箱の距離と隙間の関係で解きました。
案にたどり着いて提案した時、平家案であることと見たことのない形態に受け入れてもらえないと思いましたが、見た瞬間奥さんの目がキラキラ輝き始めたのを覚えています。
案に辿り着くには、必ず理由があります。
その理由とたどり着いた提案に納得いくまで話し合いを続けてください。
陣地取り
個々の箱が触手を伸ばす様に箱が繋がり展開していく様
渋谷真弘(元スタッフ)
佐藤淳構造設計事務所 佐藤淳
サンヨー建設 工藤洋史