ご夫婦がリタイア後の生活のため、三重県・湯の山に終の住処を建てることになりました。
もともと敷地の候補は二ヶ所あり、一つは山を背景に田園風景が南側前面に広がる平坦な土地でした。
選んだ敷地は、竹林が広がる湯の山の丘陵地で、南北の敷地高低差がおよそ1.8m程あります。
老後の生活を考えると平家が基本でしたが、敷地にすでに高低差があるので、土地の造成を二段にして高低差を1mにしました。
二人の希望は、お茶のための和の庭と芝生を敷いて孫が遊びに来る洋の庭が欲しいとのこと。
その要望を実現するため、造成した高低差に跨る様に十字型の平面を配置し、四つの庭を確保しました。
一つ目は、玄関アプローチになる山木を植樹した前庭。
二つ目は、リビングに面して芝を敷いた遊びの庭。
三つ目は、お茶を点てる和室に開いた和の庭。
四つ目は、隣地の竹林の借景です。
十字のそれぞれの棟は、ゲストルーム棟、LDK棟、プライベート棟、和室等に分かれています。
十字のプランと四つの庭に囲まれ、老夫婦の穏やかな生活に応える住宅になればと思います。
設計担当:納谷学、滝沢茂雄
構造設計:かい構造設計 寺門規男
施工会社:
構 造:木造在来工法
敷地面積:538.33m² (162.84坪)
延床面積:165.69m² (50.12坪)
掲載誌:『モダンリビング2009年度5月号』
コラム:ALL ABOUT
①十字プラン
十字プランによって四つの庭が産まれました。
お茶のための和の庭、孫のための芝生の庭、ガーデニングのための前庭、そして隣地の竹林を借景として。
②棟で別れる生活空間
四本の棟には、生活に合わせて機能が分かれています。
LDK(パブリック)の棟、プライベートスペースの棟、ゲスト棟、そして趣味(お茶)の棟。
③老後の生活のためのプラン
老後の生活のために、ゲスト棟以外の棟は段差がなくバリアフリーになっています。
また、プライベートスペースに洗面脱衣・浴室が寝室から直接使える様に計画しました。
お茶のための和の庭と孫が遊びに来た時の為の芝生(洋)の庭の2つの庭が欲しいという要望に対して、建物で敷地を分割して4つの庭を提案しました。
敷地を造成していたら、大きな石が出てきました。クライアントと話して和の庭の枯山水の石に使うことにしました。
工事途中には、予想しないことが起こるかもしれません。
この工事では、敷地から大きな石がいくつか出てきました。
石は、運ぶのに大変な労力がかかりますから、コストがかかります。
クライアントと話し合い、庭に使うことで、余計なお金がかかることを回避しました。
滝沢茂雄(元スタッフ)
かい構造設計 寺門規男