クライアントの要望は、開放感あふれる住宅と、季節を感じる庭に囲まれた生活。
その要望を実現するため、片流れの大屋根が三層のワンルーム空間を覆う木造住宅を計画しました。
1階がLDK、2階が寝室兼作業室、3階がロフト(建築基準法上のロフトで床面積、階に含まない)いう空間構成。
1階リビングの先にはL型の縁側が広がり、その先に緑のスクリーンとなる庭を設けました。
L型の縁側とリビングは、4連の大型木製戸で結ばれており、全て開け放てば、周辺の林、庭、室内が一体の空間となり、庭の中で生活しているような気分になります。
天窓から射し込む陽光は、杉板壁に影を落とし、漆喰の大屋根を照らし、住まい手に時の流れを感じさせてくれます。
庭と道路は高さ2.2m(上部:型板ガラス)の塀で隔てられているので、カーテンを閉めずともプライバシーは確保されます。気候の良い時期には、大型引込戸を全開にし、縁側に備えた台で庭に囲まれながら書き物をしたり、お茶したりと楽しみが広がる場に…。
その縁側と庭の雰囲気が住宅の2階、3階からでも見通せるよう、慎重に大屋根の勾配を決定。
この大屋根が風や地震の力をバランスよく下部構造へと分散する設計としたことで、通常必要となる梁や束などの小屋組材を無くし、庭から3階までの開放的で風通しの良い空間を実現しています。
省エネ面では、屋根に沿った重力換気を行う一方、引戸を多用することで、自然通風と暖房時のゾーニングに対応し、屋根は断熱材併用の通気工法を採用することで、夏期日射、冬期断熱に備える設計としました。
また、骨董品集めが趣味というクライアントの蒐集品には、金箔襖やケヤキ板が…。趣きを感じる物だったので、新しい住まいでも適所を探し、その寸法に合わせてディテールを設計。再びこの住宅で活躍してもらうことになりました。
新しいモノと古いモノが混在する、【厚み】のある住宅となりました。
・住宅のどの部屋からも庭を望め、季節感あふれる庭と共に暮らせる住宅。
・大屋根に特殊構造を採用し、小屋組を無くしたことで、広がりと開放感を感じる室内空間を実現。
・漆喰、木材、自然石などの自然素材を活用し、ゆったりとした雰囲気を醸成。
クライアントのご要望
①季節を感じる庭に囲まれた、明るく、開放的な住宅。
②道路からのプライバシーを確保して欲しい
③木の温もりを感じるモダンな家。
④趣味で蒐集した骨董の建材を使って欲しい。
当事務所からのご提案
①②→敷地の道路側外周部に、高さ2.1m(上部:半透明ガラス)の壁を築き、カーテンを閉めずともプライバシーが確保された庭に向かってガラス張りの大屋根建築を提案。大屋根下は雛壇状の空間構成となっており、どこからでも庭を眺めることができます。リビング角の建具を開くと、室内に居ながら庭にいるような気分。文字通り、庭に囲まれた生活を実現しました。
③④→木構造を美しく魅せる意匠について検討を重ね、葉っぱのような大屋根が空間を覆うデザインを提案。構造体の木材と漆喰などの自然素材が調和する、温もりのある空間を実現しました。蒐集品の建材については、最も調和する場所をCGで検討して探し、建材を採寸、新築住宅にカスタマイズしました。
上棟式の際には、クライアントのご家族が近隣の方を招いて餅まきを行ってくださいました。クライアントのご厚意で、私達も屋根の上から餅まきに参加。地域に一体感が生まれたような、すごく温かい気持ちになったのを今でも覚えています。
大胆な空間構成と、プライバシーが確保された庭、ゆったりとした時間が流れる住宅です。
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