敷地は東西方向(8.5~10m)が短く南北方向に長い。
東西方向が短いが、南北方向に長いところを利用し、アプローチを長くとりその部分には低い屋根をかけて外の土間とし、植裁や砂利を敷き、観賞する腰掛けを置いた。
この腰掛けは、玄関の戸を開ける時、手荷物を置く場合などにも便利である。
この家のテーマである「土間」は、内部と外部の融合空間で6帖の広さがある。
土間は和室とDK(ダイニングキッチン)に面し、土間から和室へ、また土間からDKへ直接上がることができる。
土間6帖、和室6帖、DK20帖は桧7寸の大黒柱を中心に、用途に合わせ各部屋を引き戸で仕切ることもできるし開け放して使用することもできる。
開け放して使用すれば、32帖の大空間となり、6帖の土間が一見無駄なようであるが、この 「間」 があることでDKや和室に広がりを与え、開放感を味わうことができる。
今の日本の住宅事情では、日本の建築文化の 間 がない 間抜けな家 が多いが、間 を取ることで心と空間に豊かさを感じることができる。
土間には、家族用の玄関兼 納戸も接続し、いつ来客があっても土間はすっきりした状態を保つことができる。
3台分の駐車スペースと建物を除いて15帖ほどの庭を造り、ダイニングや和室に続けて濡れ縁を設けた。
濡れ縁には下屋を設け、この下屋付きの濡れ縁は庭と室内を結ぶ中間領域で、外部空間なのか、内部空間
なのか判然としないところが良いところである。
この濡れ縁に座り、庭を眺めながら日本の四季折々の自然の素晴らしさを感じることができる。
濡れ縁の下屋の軒先には、わざと樋を付けず雨の日には軒先から雨落ち溝に雨が落ちる様子を眺めるのも
風流で 心を休めることができる。
下屋は一間半出ており、横殴りの雨が降らない限り雨の日でも掃き出し窓を開けて風を通すこともできる。
敷地を最大限利用し日本の建築文化である古民家、町屋、数寄屋の要素を融合しモダンに仕上げた。
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