「木造平屋リフォーム済み!築年数15年!延べ床面積15坪!」 Mさん夫妻が5年前に購入した物件だ。娘と3人、小さな家で 暮らしたい!お二人にとっては申し分のない広さだった。しかし、どうしても気に入らないことが一つだけあった。キッチン から食卓までの動線だ。一度、和室を突っ切らなければ食卓のある洋室へ行けなかった。その後息子さんが生まれ、さすがに少し手狭に感じ、どうしたものかと、こぢこぢへ相談する運びとなった。
動線問題を解決すべく、キッチン・和室・洋室を隔てる壁を取り払い、足りない床はロフトを設けて補うことで、立体的な広 がりのある空間が出来上がった。現れ出てきた松丸太。古民家 風を期待したが火打梁はスチール製で、和室の柱は集成材の化粧単板貼りだった。
築20年という年数はアンティークと呼ぶにはいささか浅すぎた。 見られることを前提としてない構造材。それらの無骨な質感は、まるで何かの道具のように頼もしい風格を漂わせていた。空間の統一感を図るため、床・壁・天井はもとより、棚や手摺・カ ーテンレールに至るまで、可能な限り無垢材を使用した。木でも鉄でも理屈抜きにムクが合っていた。
この家を貫いている世界観。それを表すピッタリの言葉が見つ かった。ブロカント( BROCANTE )というフランスの言葉だ。 「アンティークほどの年月が経っていない、人々に愛されてき た古道具」という意味だ。これからも住まい手から愛され続けて欲しいという思いを込め、ブロカントハウスと命名した。
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