敷地は日本海からゆっくり登る砂丘の頂きに位置する新潟市西区浦山。
分割するには小さく、単独で売り出すには少し大きな60坪の土地。
土地の奥には裏通りへ抜ける小径が付き、
前面道路は各戸が私有地を出し合う事で形成する2項道路。
この土地で、建ぺい率50%によってできる余地を最大限に有効化し、公共化することを目指しました。
小さな家を2つ建てて、その「間」を“町の拠り所”として、前面道路と裏の小径を結ぶ“間の道”として公共に開く。
1つの建物にはいわゆるLDKといった目的のゆるい大きな空間を配置し、1つの建物には、子供の部屋やワークスペース、畳間といった比較的に目的の明確な小さな室を配置。
2つ建物の行き来や1階、2階の行き来には必ずこの建物の「間」を経由します。
すなわち、家族みんなの場所と個の活動を支える場所との間に、町の拠り所を介することとなります。
それにより、この家は建物の建ち方として以上に、より実際的に生活を町に開き、そして生活に町を取り込むことを選択。
家の中の移動により、町の出来事や季節の変化をより身近にし、家の中での移動をより意識化し、
町を歩くことと家を歩くことをスムーズにそしてシームレスに連続させることを意図しています。
誰かは、海からゆっくりと砂丘を上り、その頂にあるこの場所に立ち寄り少し休み、そして裏の小径に抜けていく。
誰かは展望台に上がり、今歩いてきた坂道や、さっきまでいた海を望みながら、しばらくの休息をとる。
そんな、何か誰かの途中に家族の私生活を拡げることで発生する一期一会的な時間が、住み手の趣味や雰囲気と重なり、この家族の快適となっていく。
これは、集落の各戸が私領域を出し合い道とすることで継承されてきたこの街並みに対する、私領域の新しい出し合い方、開き方の提案です。
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