敷地は秋田市楢山、太平川沿いに1000本にも及ぶ桜が連なる桜並木からほど近い、高密度に建つ住宅地。 三叉路の角地にあたる28坪の小さな土地に夫婦と子供の3人が暮らす住宅を計画。
求められたことは、
雪深い秋田でありながら大きな窓で開放的な暮らしを可能にすることと
家の中から太平川の桜並木を眺める生活。
敷地は前面道路が狭く高密度に建つ住宅地である為に、従来の建ち方では周囲への圧迫感を与えてしまうと感じ、道路に面する壁2面を7度だけ傾けることで、周囲の街並みとの調和を計った。
また、斜め壁の角を隅切りすることで生まれる巨大な三角窓が住み手と街の接点となり、楢山の街の顔となることを提案。
1階には主寝室・和室・水廻りをコンパクトにまとめ、2階はテラスや階段吹抜けを通して大開口から桜並木を望む奥まったLDKとロフトスペースというシンプルな室構成。
上下階を繋ぐ玄関土間・階段吹抜けはバッファ(緩衝)スペースとして、夏•冬の温熱環境とプライバシーを調整し、生活を守る。そして、時には生活を少し外へ拡張するオープンスペースとしての役割も担う。
家の中が道路の延長であるかのような車の近さや、桜や草木の栄枯を日常の上下階の移動の中で垣間みるように、変則的な折れ階段と三角窓が、街並みや季節を取り込むきっかけとなり、生活をより色彩豊かに広がりのあるものにしてくれている。
雪国秋田にありがちな小さな開口部、閉じた生活に対して、桜並木や街並みを取り込み、季節の移り変わりを感じる、コンパクトでありながら開放的で広がりのある生活が実現できた。
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