京都・嵯峨野の静かな住宅地に建つ、コンパクトハウスです。
予算に見合う土地を探すべく4年越しの検討を経てようやく実現したこの住まいは、「必要なものを丁寧に選び抜く」ミニマリストの考え方と、「これからの人生を心地よく過ごしたい」というセカンドライフの想いが重なり合って生まれました。
この家の中心には、広々とした土間キッチンがあります。料理が趣味であるクライアントの希望で、キッチンは単なる作業の場ではなく、人が集い、語らう場として設計しました。玄関を入るとすぐにキッチンが広がり、天井の高さに変化をつけることで、空間にリズムと奥行きを生み出しています。
この住宅では、構造材を隠さずに見せる「構造あらわし」のデザインを採用しています。木の架構が空間に温もりと力強さを与え、時間の経過とともに深みを増す表情を楽しむことができます。余分な装飾を省き、素材そのものの質感を暮らしの中で感じられるようにしています。
延床面積は決して広くありませんが、天井の高さや光の取り入れ方、視線の抜けを工夫することで、面積以上の広がりを感じられるようにしています。限られた空間の中に、心地よさと機能美を凝縮した住まいです。
外観は周囲の街並みに穏やかに溶け込みながら、深い色の軒と柔らかな左官壁とのコントラストが印象的です。派手さではなく、長く住み継がれていく静かな強さをもつ住宅を目指しました。「住まいは完成して終わりではなく、暮らしとともに育つもの」——そんな想いを込めて設計しました。
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