仲良くしている工務店から「紹介したいお施主さん(候補)がいる」との電話があった。程なく送られてきた要望書。部屋の数から階段幅にいたるまで、かなり細かな内容だったがパティオの文字を見つけた時、私の顔はほころんだ。
中庭プランは積年の夢。新宿からほど近いその土地に、プライバシーの守られた光あふれる静かな庭を !!! かくして[中庭のある家]は始まった。
正方形に近いその敷地には厳しい道路斜線の規制が掛かり、隣地の2面も北側斜線の規制があった。床面積の最大確保を目指しつつ、広めの中庭も確保したい。内から外へ押し広げようと試みる度、斜線規制で押し戻された。繰り返されたせめぎ合い。家族にとっての最適サイズが導き出された。
間取りに関する具体的かつ細かな要望の一方で、インテリアに関する要望は、これといって無いようだった。たったひと言「プロに全てお任せします」続けてひと言「ついでに家具選びもお願いします」と。何というありがたいお言葉!!!
Room402に暮らして以来、私の中でインテリアの重要度が日増しに膨れ上がっていた。特に無垢の木が私に与えた影響は大きかった。手触り足触りも然ることながら、時間とともに増すその風合いにすっかり魅了されていた。「無垢の木を多く使ってみるのはどうでしょうか?」この提案に「カントリー調になりませんか?」とお施主さん。「そう感じないように仕立てます」と約束し、私にとって最高に心地の良いインテリアを模索する機会が与えられた。無垢の木から教わった「経年変化」という概念。それは他の素材や家具を選ぶ際にも一つの大きな基準となった。「古びたときに美しさを増す素材」「時代の変化に耐え抜くデザイン」という眼差しの前では、モダンやカントリーといったカテゴリーはもはや何の意味もなかった。こうして[中庭のある家]は、私の好みが最も色濃く反映された家となった。
資料請求にあたっての注意事項