いろいろな形態や建築材料でつくられる新しい住宅街の中で
何が正しく 何が最良のデザインかは ますます分からなくな
っています。 そのようなものに捕らわれないで 住宅設計を
するにはどうしたらよいのか? その問いに対してイメージし
たのは 住宅を 鳥の視点で識別してみることでした。 もし
鳥が上空を飛びながら 降りたつ場所を見つけるとしたら・・・
いろいろな形で混み合った都市内の住宅街で まず見つける
ものは 正方形の輪郭の中央に聳える 住宅を覆い包むほどの
大きな樹木 それもまわりから一段高くに聳える樹木。
畝田東の家は これから大きく成長する 一本の樹木のため
に計画された住宅です。 2階の中庭に植えられた樹木は1階
へと根をおろし 大地からの力を得て成長します。 樹木のも
とには 鳥 虫 四季の変化 木漏れ日 風の音 月日の重な
り 呼吸 皮膚感覚の潤い 木登り落葉拾い・・・
自然の風景から人の暮らしまでが宿り 人を 空と土地へ結び
つけます。 建物の海原と呼べる都市景観に ポツリと現れた
オアシスです。
建物が高層化する現代 鳥の視点は 人がこれから獲得する
視点です。しかし 本来 人が 古くから 創造力によって
既に獲得していた視点でもあるのです。 空と土地の間に根を
おろし時とともに 時をこえて 安らぎを得る場所が住まう場
所と成り得るのです。
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畝田東の家は 将来に対する意味として 反する2面性を備
えています。 ひとつには この住宅の周りが一般的な住宅で
埋められた場合 周辺からは異質な存在として際立ち 都市生
活における 自然-光 風 緑・・・・- の豊かさと必要性を反
面的に示してくれます。
また もうひとつには 同種の住宅がいくつか計画された場
合 住宅地を互いにつなぐ道路に面した1階レベルでの水平な
広がりと プライベートな中庭のある2階レベルの空へと向け
られた垂直な広がりを持つ 二層構成の住宅地をつくり出しま
す。建物が並置された 今までの住宅地景観とは異なる 新し
い景観が生まれます。
いずれに向かうにしても 住宅地の成長・変化と共に この
住宅の意味が成長・変化して行きます。
10年後 畝田東の家がどのような意味を持ち得ているのか
見守り続けます。
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