新宿駅にほど近い、大都市の中に建つ小さなオフィスビルです。
近隣は中規模のオフィスビルやアパート、戸建住宅などが混在して建つエリアです。裏路地に入ると、植物や自転車など人々の生活がにじみ出し、素朴な風景をつくっています。
お施主様は、小規模ながらも遊び心があり、心地よく働くことができるオフィスビルをつくり、元気な中小企業を増やしていきたいという理想があります。建物がひしめき合っている大都市の、限られた狭小敷地において、敷地境界線と建築の間をどうつくるのか、その間に生まれる空間の豊かさを考えました。近接して同時につくられた二棟のオフィスビルは、それぞれ違った個性を持ち、外部と内部の関係性に特徴があります。
「代々木のオフィス1」は、建築を大きな鉢植えととらえ、その中で植物と人が共存します。地面から直接伸びるもの、2階の鉢植えから上下に伸びる植物、そして3階の小さく区分けされた鉢植えのものとが混ざり合い、建築全体に一体となります。外から見ると、空を飛ぶ鳥のように緑を俯瞰し、内から見ると、土の中にいる虫たちのように、緑の中に入り込んだような体験となります。鉢植えのない外壁面は、粉状の施釉にどぶ漬けし、自然な色むらのあるレンガタイルで、建築全体に温かみを与えています。
「代々木のオフィス2」は、大きな斜めの空隙を持つ内部空間と、斜めに切り取られた外部空間とで構成されます。大きなトンガリ屋根の内部は最大5.8mの天井高を確保しています。限られた敷地にできるだけ大きな容積を作るため、小さなフットプリントを極限まで斜めに引き伸ばし、天空率計算ではなく、道路斜線制限の最大ボリュームで建てています。3階のテラスから周辺の風景を見ると、まるで大都市の中のエアポケットにいるような感覚です。
私たちは、お施主様の理想を実現するべく、これまでになかった狭小ビルのプロトタイプを提案しました。
写真:中村絵
1. インテリアとエクステリアに取り入れた緑の潤い
2. 思わず中に入りたくなる不思議なトンガリ屋根
3. 都市の中のエアポケット
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