夫婦と子供の3人家族の住まいです。敷地は、千葉県八千代市のニュータウンの一角。最近まで畑や林などが残っていた地域で、周囲はまだ更地が広がります。夫は、家全体がワンルームのように繋がり光に溢れた住まいを望み、妻は収納が多くプライバシーを保つことができる住まいを望みました。両極端のリクエストを実現するため、立体的なワンルームとすることで、地面と空を家の中に取り込み、環境と人とものの関係性を、床の段差によって構築しました。
一階のほとんどは地面と連続した土間です。土間からコンクリートの基礎を伸ばして腰壁として現し、床高の異なるキッチン・ダイニングとリビングを土間を挟んで配置しました。床の段差部を見せる収納として、土間と床の境界がものの居場所となります。土間から階段を8段上がると書斎スペースがあり、将来的には子供の電子ピアノが置かれます。さらに2段、4段の段差を上がったところに、夫と妻の部屋があり、一番上の子供部屋へと続きます。これら6つの床の段差は、子供の格好の遊び場です。
今後周囲の住宅建設が予想されるので、開口部を外壁側に多く取らず、ミルフィーユ状に床と床の隙間を光の取り入れ口とし、断熱性に優れたポリカーボネート中空板で帯状に覆うこととしました。プライバシーを保ちながら、内部まで光が入ります。また、人の背よりも高いところに透明なハイサイドライトを帯状に回し、通風と視線の抜けをつくりました。リビングのソファから見上げると、折り重なる床の先に空が見えます。高さの異なる6つの木の床とコンクリート土間は、平面的な広さとしてはコンパクトな家の中に、感覚的な距離を生みます。これらが生活の中で自然と展開されることで、家族の繋がりが床を媒介として一体となりつつ、のびのびとした広がりを感じさせる住宅としました。
1. 家族のプライバシーを保ちつつ、気配を感じられるところ
2. たくさんの部屋(7つの床)があるところ
3. 収納が多いところ
建物が完成に近づいた日、お施主様ご家族が現場にいらっしゃり、5歳の息子さんが「わ〜、8階建ての家だあ!」と大喜びしてくれました。住み始めてからも、息子さんはお友達と段差をうまく使って、家全体を遊び場として楽しんでくれているようです。
21世紀工務店
資料請求にあたっての注意事項