この住宅は、なだらかな丘を開発した新興住宅地の中に位置しています。
住人は夫婦2人子供2人の4人家族です。
敷地は西側の前面道路より1.8M高く、東側道路より3.5M低い。クライアントの希望である、独立性の高い広い庭を確保するには、東側道路からの見下される視線を遮る必要がありました。そのため建物は、南北に延びる高層棟と東西に延びる低層棟によるL字型の構成とし、そこに長いアプローチをはさむ2枚の壁と、南側の隣家の窓からの視線を遮る独立壁が付け加えられました。これらの要素は、ローコストに抑えるため出来るだけ単純な構成としましたが、内部空間にいくつもの深いパースペクティブが得られる様に考えられています。
またリビング前の大きな庭や、車庫の上へと廻り込むテラス、そして和室前の白い寒水石の庭はそれぞれ趣を変え、ゆるやかにつながりながら内部空間とも1体となり、複雑な回遊性を作り出しています。当初、この回遊性は屋外階段により階上へと広がっていく予定でしたが、クライアントの希望により2階は家族だけの閉じた空間へと変わりました。
全ての居室の前には2Mの深い庇がかかり、バルコニーや濡れ縁等の内外部の中間領域を作り出しています。四季の移り変わりは、ここから内部へと入りこんできます。また、雨の日には雨水が集められ、玄関ホール前の手水鉢や、リビング前の池に流れ落ちてくる。そして、H鋼の小さな川を流れていく。
「雨の日の趣も悪くはない。」そう考えた結果です。
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