栃木県・上三川町で、築150年以上の古民家をリノベーションしました。
既存の古民家は、かつて日本中どこにでもあった水周りのある土間と玄関が一緒になった農家の形式です。
それが長い年月の間にさまざまな家族形成を経て、増改築を繰り返していました。
現在も家族構成も変わり、増築した部屋は要らなくなり、その部屋を減築して、新しい生活(白い筒状の箱)を挿入しました。
もともとあっただろう土間を、北庭にダイレクトに繋がる通り土間として蘇らせ、そこに新しい生活(白い筒状の空間)をつなげました。
南庭に開いている和室の続き間は、土間に近い方を仏間として、奥を親世帯の寝室にしました。
中廊下を挟んで北側には子世帯のプライベートスペースを計画し、荒れて使われていなかった北庭を整備しました。
既存の古民家のプランを読込み、蘇らせた通り土間が二世帯の交流の場として、近隣の井戸端会議の場として再生できればと思います。
設計担当:納谷学、岡田裕介
構造設計:長坂設計校舎 長坂健太郎
施工会社:成常建設 松島
延床面積:168.39㎡(50.94坪)
建築面積:168.39㎡(50.94坪)
①減築
家族の人数が少なくなって、使わない部屋を減築しながらリノベーションしました。
②北側の庭も利用
南の庭を利用するだけではなく、放置されて使われてなかった北側の庭を整備し、寝室や浴室から見渡せて開けるようにしました。
③通り土間の復活
二世帯が暮らすのに、土間を介して交流が図れるように、元々あっただろう通り土間を復活させて、この二世帯住宅の核としました。
家族が減って使わなくなった部屋は物置になっていました。
減築することを提案して、残った家族が快適に過ごせるように、通り土間を復活させることで家族だけではなく、昔ながらのご近所さんも訪ねてきた時に井戸端会議ができるように、リノベーションしました。
改装前、ご家族は寒さのあまり、小さなスペースに間仕切って過ごしていて、大きな家を使いこなしていませんでした。断熱を丁寧に施したら、もっとオープンで暖かい生活ができますよと説明しても信じてもらえませんでしたが、竣工したら良かった良かったと笑顔が溢れました。
リノベーションの醍醐味は、古い建物の良さを引き出し残し、そこに新しい知恵と技術を足すことで、新築とは違う新しい生活を体現できることだと思います。
リノベーションを楽しみましょう。
クラシックカーを電気自動車に。
見た目は古典的な佇まいでも、中は最先端の技術が詰まった住宅になりました。
岡田祐介(元スタッフ)
長坂設計校舎 長坂健太郎
成常建設 松島