秋田に4世帯のための小さな木造のアパートを計画しました。
冬の寒さから住人を守るのに、住戸の中心に浴室と洗面所を入れ子に計画して、その周りを部屋が囲み、サーキュレーションできるようにしました。
水周りを囲むスペース(LDKや個室)によって、中心の浴室はインナーテラスを介して間接的に外気と接するだけで、直接外気には接しないので、秋田の厳しい冬でも結露することなく、暖かく使用することが出来ます。
外壁の開口部は、なるべく小さく断熱性能を高め有効に機能する大きさと高さを決めました。
特別な材料や特殊な工法を用いることなく、既製品を有効に工夫しながら使うことで、ローコストでも寒さの厳しい秋田で暖かく楽しく生活できるアパートができました。
設計事務所に依頼すると高くなると思われがちですが、アイデアと工夫でローコストでも豊かな空間は実現できます。
設計担当 : 納谷学、松下有為
施工会社 : 伊藤住宅
構造形式 : 木造在来工法 二階建て
①ローコスト
既製品を使い、特別な造作をなくして大工さんの手間を少なくして、コストを抑えています。
②プランで解決
雪国の寒さ対策に水周りを住戸の中心に配置して、その周りを部屋で囲み裸になる浴室が寒くならないようにしました。
③サーキュレーション
水周りを部屋で囲っているので、その周りをサーキュレーションできる使いやすく楽しいアパートにました。
秋田は、冬の寒さ対策が計画の肝となります。
ローコストだから諦めるのではなく、一般的な同じ材料や仕上げを使っても設計のアイデアと工夫でコストを抑えながら計画することが出来ます。
プラニングはとても大切です。
この計画は、当初は元々建っていたアパートのリノベーションでした。
ところが、いざ解体を始めたら、雪と氷による基礎周りの損傷が激しく、急遽立替えることになりました。
クライアントは、予算が増える為相当悩みましたが、コストを何とか抑え竣工に辿り着きました。
お陰様で入居者はすぐに決まり、冬も暖かく過ごしているようです。
この事例はアパートですが、住宅でも現場が始まって想像しなかったイレギュラーなことが起こり得ます。
このアパートでは辿り着きましたが、気持ちと資金に多少の余裕を持って始めたいですね。
卵
卵の黄身は、白身に守られていますよね。
この住宅も、住人が裸になるスペースが周りの部屋によって守られています。
松下有為(元スタッフ)
伊藤住宅