計画地は日本最東端の町、根室市の市街地から約30kmの位置にある人口300人程の集落。酪農が盛んで、周囲には大自然が広がる。冬は氷点下20度まで下がることもあり、寒さが厳しい地域である。
住民は高齢化が進み、ゆっくり休める飲食店も少ない。この現状を踏まえ、住民が気軽に足を運び、談笑できるような"憩いのスペース"を提供することを目的とし、計画を始めた。
予算が650万円と少ない中で、コンセプトとして考えたことは、町と建物を"やわらかく繋ぐ"こと。住民に"開く"ことに対して、冬の寒さ等の外部環境には"閉じる"。その"開く"と"閉じる"を両立するための空間として中間的な領域、"やわらかく繋ぐ"空間を考えた。具体的にはテラス。店舗入口をテラス内に設け、店舗→テラス→屋外と空間を繋いだ。店舗の開口部はテラスに向けて大開口を取り、外気に対しては開口部を最小限にとどめた。テラスと屋外の間には間仕切りを設置し、その間仕切りを利用して、開店、閉店の区別をできる計画とした。そのことで、住民が営業時間を把握しやすい形状となった。
内部仕上げとしてはクロスとOSB合板。面積が小さい為、広く感じさせるよう白いクロスを外周部に採用。厨房やカウンター、トイレなどの壁にはOSB合板を用い、コストカットをした。外観としては、構造的にも安定し、周囲の住宅に溶け込む方行屋根を採用。壁、屋根ともに白とし、風景に溶け込む建物になるよう心掛けた。
店舗の看板には廃校になる小学校の机の天板を使用。地域の思い出と共に、地域に根付く建物となるよう採用した。
・ローコストでオシャレな内装。
・北海道の気候に配慮したテラス。
・田舎町に映える外観。