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霧の中に浮かぶルーフ。 | 軽井沢カウンターポイント
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PODA一級建築士事務所

軽井沢カウンターポイント

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都心で多忙な生活を送るクライアントが、家族やゲストとの貴重な時間を豊かな森で過ごすための別荘である。当初よりクライアントは外観から内部の様子が容易に予期できない家を要望した。それはゲストをもてなす上で十分理解できるものであったが、一方で山の斜面に位置する敷地周辺の森を歩き廻ってみると、そこには既にクライアントの望むような時間的属性が備わっているようにも感じられた。したがって、森を散策する際の拠点としてはもちろん、森の中をさまようような予期不能な出来事に満ちた時間が、この家自体で体験できたら素晴らしいと考えた。

敷地上部から見下ろすと、傾斜地の中腹にうねったコンクリート屋根が浮かんで見える。背後の山並に重なりあう有機的なシルエットは、湾曲したアプローチを下るに連れ変形し、やがて訪問者の頭上を覆うアーチへと変貌をとげる。屋根は駐車場の上部で傾斜した地盤に接地しており、その上ではインスタントに「山歩き」が体験できる。内部では、屋根の起伏がそのまま天井面に反映されており、周囲の森と同様に家の中でも散策が体験できる。敷地の地形は棚田状の段床として室内に介入し、訪問者の視線に多彩な変化をもたらす。エントランスから大木のような曲面壁の隙間を縫いリビングへ進むに連れ、天井は高く丸みを帯び、眺望は遠方へと開かれていく。各々の「大木」には本棚やキッチン、暖炉を取り込む大小さまざまの「ニッチ」が彫り込まれている。風呂に入る途中で本棚に立ち寄ってみたり、キッチンで料理しながら山の風景に目をやったりと、ニッチにより多様な振る舞いが無意識的に開かれ、日常のリズムに変化が生まれる。

家の内外を即興的に散策することで、一つの中心に身体を定位することなく、様々な場所から等価に奏でられるポリフォニーを体験できるアクティブな日常生活が実現する。山並とうねった屋根の、複数のニッチの、あるいは森と家のあいだに生ずる差異は、対位法(カウンターポイント)のように絶え間なく反復し、新たな創造的環境をもたらしていくことであろう。

掲載誌/
新建築住宅特集 2010年3月号
Casa BRUTUS 特別編集「21世紀・日本の名作住宅vol.2」
Casa D N.47 / Italy 
ARCH 2009.09 / Taiwan 他

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曲面屋根
風景の切り開き
自然と一体化した建築

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田村 秀規

設計事務所会員
設計事務所会員とは
主に建築物の設計監理や建築デザイン等を行っている建築設計事務所や建築家を示します。
通常営業中です
竣工年
2008
部屋数
指定なし
家族構成
夫婦(子供あり)
構造
RC造
敷地面積
300㎡以上
延床面積
300㎡以上
所在地
長野県
ロケーション