小高い丘に小さな住宅を設計しました。
回遊導線とスキップフロア、そして大きな窓を持つ都市型住宅です。
2階にリビングダイニングは明るく、視界も風も通り抜ける、心地の良い住宅です。http://www.tabuchi-architects.com
まずは、ダイニングの大きな窓。通りを一直線に見通せます。光と風を存分に取り入れる、気持ちの良い晴れ晴れしい、この家の顔です。
次に回遊動線です。階段を中心に家の中をクルクルと移動できるようにしました。狭さが感じにくく、空間にも広がりを感じます。そして何より楽しく移動できます。
最後にスキップフロアです。リビングとダイニングは3段の段差を設けて空間を分節しています。天井の高さにも変化をつけて、一つの繋がった空間だけれど、二つの居場所に分かれています。互いに視線もぶつからないので家族それぞれの居場所を確保できる工夫です。
家族構成:4人(夫婦+子供2人)
単身赴任が多いご主人、奥様の要望は1階の窓を少なく小さく。シンプルで美しい、明るい家をご要望されました。駐車スペースは2台。自転車も置きたい。との事でした。
まず周りが建て込んでいる立地だったため、LDKを2階に設置し、視線の抜ける方向に大きな窓をダイニングに設置しました。この住宅の顔です。朝、生活のスタートは朝日が入るこのダイニングから始まります。この住宅で最も明るく気持ちの晴れる居場所です。
ダイニングとリビングは段差を設けて、家具でも仕切っています。完全には見えないけど気配は感じる、つかず離れずの関係です。家族みな思い思いでそれぞれの居場所が確保できるようにしています。
そして安全面をご心配されていた奥様、単身赴任が多いご主人、小さいお子さんがいらっしゃるので1階の窓は必要最低限の大きさにし、侵入しにくい高さに設置しています。大きく開く窓では無く、ルーバー窓にしています。
また、建物周囲には音の鳴る砂利を敷き、足音が消しにくい工夫をしています。
2階LDKの利点としては、1階に個室を配置すると、壁が多く取れますので耐震性も上がります。この住宅では建築基準法の必要壁量の2倍以上を確保しています。
駐車スペースについては駐輪スペースも合せて確保するため、1階を少しへこませてポーチとしています。雨に濡れずにトランクの荷物を出し入れできます。自転車も濡れません。外物置もポーチから使えるので濡れません。金沢は雨も雪も多いのです。
家事も2階にまとめています。洗濯室はあえて西側に設けています。嫌な西日も洗濯物を乾かすためならばもってこいです。
脱衣、洗濯、物干し、たたむ(アイロン)、仮置き、という動作が一つの場所で完結するようにしています。仮置きされた衣類はそれぞれが個室に持ち帰ります。
以上ですが、よく自分でもまとまったなと関心しますが、粘り強く設計を進めた結果だと思います。
この家は、お施主さんの要望は全部かなえつつ、自分の作品だと胸を張って言えるものにしようと思いました。なので都合3回、ゼロから設計をしなおしました。それを許してくれた施主さんには感謝しかありません。
「納得いくまでやりまっし!付き合ってあげるわ。」
と言ってくれました。結果的には予定通りの工期に間に合いましたが、それでも本当に感謝しています。多くの打合せに付き合って頂きました。
実績的には1件ですが、つぎ込んだ時間や情熱は何棟分にもなります。それで得られた経験は数では補えないんだなとつくづく思いました。
妥協の無い住宅を手に入れるためにはあきらめず、粘り強く設計を行う事が必要です。多くの要望を時間をかけながら少しづつ整理をし、優先順位をつけ、それを空間として定着をさせて行きます。この住宅でも当初はベランダがあって一番日当たりの良いところが物干し場になっていたりしました。でも本当に大切なのは、家族が揃っての朝食時だという事になってきました。それで朝日の当る清々しい場所をダイニングに割り振りました。逆に、夜、日が落ちてから使うことが多いリビングは決して大きな窓が必要ではなくなり、落ち着きを持った空間になっていきました。それならばと、二つの性格の違う空間を家具でしきり、高低差もつける、天井高さにも変化を付けることでより明確にして行けば良いんだという方針に至っています。
このように、時間をかけ、磨き上げるように丁寧に設計を行って行けばかならず突破口は開けると思っています。
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