敷地は、都心から少し離れた駅前に位置している。駅からは徒歩2分で、2面道路に面し、高台にあることから、賃貸住宅の立地としては好条件の敷地と言えるが、近隣には、新旧多くの賃貸住宅があるため、年月が経過しても賃料が下がり難い、付加価値のある集合住宅が求められた。また、元々実家があった敷地の建て替えで、施主の母親が住むこともあり、採光、通風に優れた快適な住居が望まれた。
敷地形状は、西側道路に対し間口が広い長方形で、住戸の配置を、そのまま西側道路に沿って並べると、各住戸は西向きの採光となり、賃貸住宅の条件として重視される、南向き採光の住戸が取り難くなる。
全住戸からの南向き採光を確保するために、各住戸を、中庭を間に挟みながら、互い違いに配置されるメゾネットタイプとすることで、それぞれの住戸はプライベートな中庭を持つ、南向き採光と通風に優れた住戸が成立すると考えた。
それぞれの中庭は互い違いに配置され、東側に設けたアプローチから、中庭を通ってLDKへとアクセスする住戸と、LDK側にアクセスし、西側に中庭を持つ住戸で構成されている。隣接する住戸との界壁は、中庭を互い違いにすることで、接する面積を少なくし、また、メゾネット形式であるため、上下階の住戸音も気にならないことも相まって、それぞれが独立した、プライバシーの高い住戸となっている。
各住戸は1階をLDKとして中庭と連続して繋がり、2階に寝室、水廻りを配置している。また、敷地の南側の配置される母親の住戸は、バリアフリーの平屋建てとして、LDKの吹き抜け空間を通して、上部に設けられた南向きのハイサイドライトから、十分な採光を室内に取り込んでいる。
中庭付きの住戸が、互い違いに配置されることで、独立性の高いプライバシーと、採光、通風が確保された、小さな戸建住宅が集合したテラスハウスが実現している。
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