敷地はかつて中山道の宿場街として賑わいを見せたであろう旧街道沿い、岐阜県可児郡御嵩町に位置する。
前面道路の向かいには小学校の正門が構え、南西方向に開けた150坪の敷地に店舗併用(美容室)住宅を計画した。この地で新規オープンすることからインパクトある外観、店舗と住居のファサードの一体感を求められた。
そこに妻入りの切妻屋根のボリュームが2つ連続するイエガタの建築を計画した。
10台分の駐車スペースを希望されたことから、前面を駐車スペースとし建物を敷地幅いっぱいに計画した。店舗と住居は中庭を囲んだL型に配置することでプライバシーを守りながら中庭を共有する平面構成とした。店舗を平屋、住居を2階建てとし、それぞれが屋根を持ち2つの三角屋根が立ち上がる断面計画である。ファサードは店舗を黒色、住居を白色とし、屋根勾配のラインによって切り替えられたボリュームであり、店舗併用住宅の新しい建ち方を考えた。
店舗エントランスは外壁仕上げの色が切り替わる交点に位置する。内部は天井の高い開放的なワンルームの中心にスタイリング席を配し、南側との間仕切り壁によって個室のスタイリング席、スパシャンプー席を設けた。プライバシーを守りながら空間の一体感や開放感を感じられるよう間仕切り壁は屋根面へ垂直に伸ばして開口を設けた。
エントランスから続く黒く染められた杉板で仕上げられたBOX部はセミオープンのシャンプースペースとして中央に位置し作業スペースからは全体を俯瞰できる。開口部は採光、通風を考慮した配置とし、空や緑を切り取る。屋根面の頂部にはトップライトを設け、季節や時間毎に変化する光が空間を豊かにする。
黒と白の三角屋根をもつイエガタの建築が、6年間対峙する小学生の記憶に残るような地域のランドマークを目指した。
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