2018年で創業70年を迎えられた有限会社 昇苑くみひも様の『宇治本店』。
住居や料亭として使われていた、様々な時代をかいくぐった築100年の町家を活用し
「伝統工芸品としての京組紐」「日常使い出来る京組紐雑貨」の物販スペースの他、
「原料としての組紐」の販売及び商談スペース、ワークショップスペース、本格的な組紐教室など
製品を販売するのみならず、技術や文化を発信する旗艦店としての役割を満たす空間となっている。
近くにある工場では染めから糸撚、撚りかけ、組みあげ等組紐への加工、雑貨の製造など一貫生産を基本としており職人達の手組みの逸品はもちろん、機械化を図ったからこそのカジュアルな雑貨にも定評がある。
設計するにあたり念頭に置いたのは、まったく新しいものに改修するのではなく
古い町家を復元することに注力しようということ。
幾度かの増改築を経た明治時代からの建物であったため
まずは全体を紐解き、社長の幼い頃の記憶とも擦り合わせ必要な面積と動線・導線の洗い出し、確保と進めた。
『昇苑くみひも宇治本店』前の道こそが本来の平等院への参道であったと、400年前の文献にも記載されており、本格的に観光産業にも力を入れ出した宇治の『まちづくり』の一環として歴史在る佇まいの参道に相応しい表情を心がけた。
通りに面した大窓には、十分な採光で正しい色を識別できるようにと、昔の知恵が詰まった紐屋(糸屋)格子を採用。
視線の抜けも良いため、通りから奥の中庭までが見渡せるようになっている。
中庭も元の状態を出来るだけ活かし、築山やつくばいを整えてもらった。
ゆくゆくは草木染めに使える梅やタデアイなども植えて次世代に繋ぐ仕掛けも・・・
元々在った、網代天井や玉石敷きの玄関などはそのままに。
障子、唐紙襖、格子、畳など、当たり前の部材や素材を在るべき所に。
社長の思い入れがある『おくどさん』も残し炊きたてご飯にも石庭にも見える白い寒水砂利を施しディスプレー台として活かしている。
店舗導入部分は親しみ易い雑貨を奥は帯締めなど通好みの品を販売するため
入り口付近は明るく開放的に通好みの品々は茶室のような空間を設け瓦に近い鈍色で包み込んで差別化している。
【昇苑くみひも 宇治本店】
〒611-0021 京都府宇治市宇治妙楽146-2
TEL:0774-66-3535
ホームページ https://www.showen.co.jp/
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