コレクションしていた和家具や器、雑貨など日本のアンティークの魅力を活かし、家全体でバランスが取れた和の世界観をつくる。
text_ Yasuko Murata photograph_ Osamu Kurihara
doux
東京都杉並区
〈設計〉 ブルースタジオ
● 住人データ
山田さんご家族
夫(40歳/自営業)
妻(41歳/会社員)
長男(2歳)
すりガラスやひし形文様のガラスが入った古い建具が部屋を間仕切り、明治や大正時代の日本の古家具が並ぶ。築43年、85㎡のマンションをリノベーションしたこの家に暮らすのは、40歳のご主人と41歳の潤子さん、2歳の温之介くんの3人家族だ。
「日本の古い家具や雑貨、器などが好きで、学生時代から集めていたので、それらを飾って活かせる家にしたかった。間取りもインテリアもすべて自由にできるリノベーションなら、思い切って日本のアンティークを主役にした家をいちからつくることができると思いました」(潤子さん)
リノベーションを知ったのは、ブルースタジオ(以下BS)のホームページがきっかけ。物件探しからBSに相談し、イメージする空間についての打ち合せも並行して進めていった。購入した物件は、リビングダイニングを囲むように個室が並ぶ3LDKの間取り。設計を担当したBSの阿相稜さんは、
「もともとの部屋は飴色の柱や収納など、内装の雰囲気がよく、既存を活かしたリノベーションも考えられました。しかし、配管が古く交換する必要があったため、すべて撤去してスケルトンからプランを考えました。いろいろなプランを考えたのですが、元のシンプルな間取りが、寝室、子供室、ワークスペースとして使いやすいという結論に至り、元の間取りをベースに、収納の位置などを調整してプランをつくっていきました」
基本的なプランが決まったあとは、間口に古建具を入れたいという山田さんご夫妻の希望に応え、建具が決まるたびに、微調整を加えていった。
「建具は好きなものを選んできてもらい、写真で色やデザインを確認。その後、建具枠や壁などの寸法を調整し、床の色や素材も建具に合わせて決めていきました」(阿相さん)
また、タイルの質感やキッチンの天板のモルタルも、古家具や古建具に合うよう、あえて粗っぽい仕上げでまとめられている。白い壁にガラスブロックを取り入れたり、建具を白く塗ったり、和の要素が強く出すぎないように、細部までバランスが考えられていることもポイントだ。
「家全体が日本のアンティークの世界観でまとめられているけど、和に偏りすぎないようにデザインされ、モダンさと上手く融合されていると思います。心底ほっとする大好きな空間となりました」(潤子さん)
〈物件名〉doux〈所在地〉東京都杉並区〈居住者構成〉夫婦+子供1人〈建物規模〉地上9階建て(8階部分)〈主要構造〉鉄筋鉄骨コンクリート造〈建物竣工年〉1969年〈専有面積〉85.00㎡〈バルコニー面積〉49.26㎡〈設計〉ブルースタジオ 担当:石井健+阿相稜(元所員)〈施工〉M-CUBE〈設計期間〉2.5ヶ月〈工事期間〉2ヶ月〈竣工〉2011年
blue studio
ブルースタジオ 建築デザインと不動産のプロが、物件探しから設計までリノベーションをワンストップでサポート。プロセスの楽しさを施主と共有しながら、住まい手の夢や個性を具現化した住まいを創り上げる。写真は「doux」を担当した石井健と阿相稜(元所員)。
ブルースタジオ
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