榛名山のふもとの社会福祉施設に囲まれた一画に、調剤薬局を計画しました。
プログラムは薬局ですが、クライアントからは、ただ薬局を処方するだけでなく、普段の生活の中で健康に関する相談をしたり、特に用事がなくても気軽に立ち寄れるたまり場のようなスペースにしたいという要望がありました。
構成は周囲の人たちが使えるようなスペースが調剤室を中心に取り囲むように配置した入れ子状の平面です。立面は、北側にあるこども園、東側にある学童センター、南側にある小児科クリニックと介護老人施設、西側にあるドライブスルーに対して四面が等しく接し、どの面も建物の正面とし、室内の活動が見えるように計画しました。内部空間のあり方から、平面の関係を立体的に持ち上げて断面的にも入れ子状の構成にし、段々状の陸屋根からハイサイドの光が入り、全体が明るくなるようにしました。待合ホールは三段吹き抜けの部分を作り周囲の山や周りの建物や青空をハイサイド越しに見通すことができる爽やかな場所としました。
薬局の待合スペースから、空が見えます。
子供たちが自由にお絵描きできる黒板の壁があります。
外の延長のように自由に入ってもらいたい、という思いから、床は土間仕上げにしています。
薬局は白くて清潔で、小さくて無機質、という一般的なイメージをどうやったら払拭できるか、ということをお施主さまと一緒に悩みました。地域の一番身近な医療の拠点として、これからの薬局のイメージモデルとなるような、シンボリックで温かい建物を目指しました。
調剤室を中心として、スタッフの方々もお客様も、子供たちも自由に行き来できるオープンな回廊空間をつくることが当初のイメージでしたが、薬局という厳格なプライバシーと衛生管理基準を満たす事を同時にかなえるため、どうすればいいかお施主さまと何度も打ち合わせをして、頭を悩ませました。
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