日本の多くの一戸建ては木造です。名前のとおり、主要な構造が木材の住宅です。柱や間柱、梁といった構造物がほとんど木材で作られています。使われている木材には、“集成材”と“無垢材”があるのはご存知でしょうか? ここではそのふたつの違いについて解説していきます。
集成材とは?
“集成材”とは、簡単にいうとある一定の大きさに揃えてカットされた木材を接着剤で組み合わせて板材や柱として成形しているものです。もしかしたら「品質が悪いものの組み合わせなんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
そもそも木材というのは、一本の丸太から切り出したものを使用していました。自然のものですので、木の大きさや強度が違ったり、節や割れなどがあったりするのは当然のことです。
しかし、集成材は節などを取り除いたものを組み合わせて使うことにより、ある一定の品質となります。反りや割れ、狂いなどが少なく、強度性能が表示できるので信頼性が高いといえるでしょう。
無垢材とは?
一方、無垢材とはどういうものなのでしょうか?
名前の通り、一本の木から取り出した“無垢のままの”材料です。接着剤などを使わず、自然のままの風合いを残した木材といえるでしょう。
もともと日本の家の材料である木材は、1本の木から材料を無駄なく使い切れるような寸法で切り出されていました。そのため、昔ながらの建造物は全て無垢材が使われています。そう思うと、「無垢材の方が長持ちするのではないか?」とも思えますよね。
集成材のメリット
では、集成材と無垢材、それぞれのメリットをみていきましょう。
集成材は節や割れのないものを接着して使うため、ある一定の強度が補償されます。材料の板は目視や機械などによってグレード分けされ、それに応じて組み合わされますので、かなり信用があるといえます。さらに、しっかりと乾燥させた材料を使っていますので、反りや狂いが少なく、建築材料として優秀です。
また、組み合わせてつくるため、家のデザインや構造によって自由なサイズをつくることができます。
集成材のデメリットや注意点
集成材は接着剤を使います。ホルムアルデヒドのような人体に影響を及ぼす化学物質の放散量は最大限少なくしてありますが、化学物質を完全に取り除くことはできません。したがって、化学物質に敏感な方は避けたほうがいいかもしれません。
また、集成材はここ半世紀ほどで普及してきた材料です。昔から残っている木造建築に使われているのはほとんどが無垢材で、集成材はまだ長い歴史があるわけではありません。強度は保証されてはいますが、接着剤の耐久性がどれくらいあるのか、というのはまだ未確定な部分が多いというのが注意点です。
無垢材のメリット
では、反対に無垢材のメリットを見ていきましょう。
無垢材の良さは手触りや風合いの良さがあることです。化学物質はもちろん使用していませんし、年月が進むにつれ色も手触りも変化していきます。集成材ももちろん木ではあるのですが、無垢材の風合いとはやはり異なります。少々傷や凹みがついても修復が簡単なのも嬉しいポイントです。
また、無垢材には調湿性があり、湿気が多いときは吸収し、少ない時は放出するために部屋の湿度を調整してくれる作用があります。また、何百年も残っている木造建築があることを考えると、無垢材の耐久性には目を見張るものがありますよね。
無垢材のデメリット、注意点
無垢材は強度が一定ではないため、構造材に使用する場合はきちんと材料を見極める力が必要です。質の良い無垢材を揃えるには、もちろん目利きも必要ですが、それらを材料として使う職人さんの腕も必要になります。
また、材料を揃えるのにコストもかかるでしょう。腕のいい職人を集めるのにコストがかかるため、全体的に集成材を使うより割高になるといえます。
そして、メリットである調湿機能はデメリットでもあります。なぜかというと、調湿を行うということは木材が収縮するということなので、例えば無垢のフローリングだと隙間ができる、といったことが起こり得ます。乾燥が不十分な無垢材だと、収縮の音が響いて不安になる方もいらっしゃるようです。
家を建てるなら集成材?無垢材?
さて、ここまでメリットデメリットを見てきましたが、結局家の構造材としてはどちらがいいのでしょうか?
強度やコストの面を重視する方は集成材の方がいいでしょう。割れ・収縮の少ない集成材は、強度が一定程度保証されており、また材料も手に入りやすく扱いやすいためコストも大きくはかかりません。
接着剤などの化学物質が気になる方は無垢材がおすすめです。特に、新築の場合は、建ててしまってからアレルギー反応が出てしまった、となると取り返しがつきません。また、集成材の耐久性に対して不安があるなら、実績のある無垢材を選ぶ方がいいかもしれませんね。
現状一般的に普及しているのは集成材ですが、それぞれメリットデメリットがあります。「自分が家を建てるときに大事にしたいことは何か?」「どこにコストをかけるのか?」をしっかり検討して自分に合ったお家づくりをしてください。
文:三浦明
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