自邸「唐松」は札幌市近郊の緑豊かな住宅街に位置します。道路を隔てた向かいの敷地に連続する樹木が存在します。そこには自然以外の存在がありません。夏は植物の緑でいっぱいになり、秋の紅葉を経て落葉した遠くの樹木と手前の樹木が風に揺れる動きの違いを楽しむ事ができます。その中で、一際目を引く樹木が1本あります。唐松です。樹齢を重ねた独特の樹皮を持つその唐松は、季節を問わず様々な変化で見る者を楽しませてくれます。そんな変化を身近に感じる事ができる位置に2階床レベルを配置し、その場所を家族の活動拠点としました。この建築はピクチャーウィンドウ「唐松」を中心に空間構成を構築しました。敷地は前面道路より600mm程高く、道路からのアプローチは緩やかなスロープで無意識に高低差を上ります。エントランスに入ると、光は最小限に押えられ洞窟にいる様な感覚。そこから階段を600mm降ります。暗いエントランスから長い廊下の先、ラウンジを眺めると光の溜まりがあり、この時点ではその原因が何かをうかがう事は出来ません。エントランスホールにある階段から2階へ移動します。階段手摺の線、2階天井に設けられた線を感じながら登り切ると、その先には美しい「唐松」が存在します。光の正体が明らかになります。「唐松」が心に癒しを与え、日常生活を豊かにしてくれる事を期待して計画をしました。
・ピクチャーウィンドウ 唐松
・ピクチャーウィンドウへ視線を誘導する素材ライン、空間デザイン
・素材のテクスチャー
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